二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン☆大好きな、君だから☆ ( No.50 )
- 日時: 2011/08/24 13:25
- 名前: みかん (ID: JJibcEj3)
第一話裏:入学式前。〜円堂家の場合〜
ー冬っぺと世間一般的に言う『お付き合い』?をさせてもらい始めてから2年の年月が流れて…、2014年 春ー…。
「かーちゃんオレのズボンは?!」
「ここよ。早く履きなさい」
ーぽかぽかと温かい春の陽気の中。桜と皆に見守られて…。
「かーちゃん。オレのバンダナ!」
「あそこ。洗濯しといたわよ」
「かーちゃん。…えーと、後何がないんだっけ…?」
「…朝ご飯。まだ食べてないんじゃない?」
ー円堂守15歳。本日から高校生になります!!
「おはよう。高校生の守くん」
「!ふぉーひゃん。おふぁよ!(!とーちゃん。おはよ!)」
久遠家では丁度冬花が道也に怒鳴っていた頃…。
円堂家では対照的にいつもの…朝ののゆるりとした光景が流れていた。
「ねえちょっとお父さん。この子に何か言ってやれない?今日は入学式だってのに、また目覚まし止めて寝てたのよ…?」
「おやおや」
「グフッ…!んっ…!ケホッ!
だーもう!かーちゃんごめんって!次からちゃんと起きるからー!!」
入学式の日にさえ寝坊なんて…。若干ゆるりとしすぎな気もするがそこは勘弁してもらいたい。何せ守の寝坊・遅刻・忘れ物は昔からの日常茶飯事である。逆にこれが無い日は大抵台風が接近して来たり、豪雨が降り注いだり、円堂が何かに悩んでいたりしてしまう。
「全くもう。明日からもう母さん起こしてやれないんだから。ちゃんとルームメイトの人たちと仲良くするのよ?そして起こしてもらいなさい」
「…あーい」
もう起こしてやれない、というのは今日から円堂が通うのは地元の雷門高校ではなく、ココから少し離れた全寮制の稲妻学園だからである。
県内の公立高校の中でもトップクラスのスポーツ名門校であるそこを第一希望とするのにはかなりの時間と勇気を要したのだが…。
一緒に受験を目指した鬼道達の筆記対策レッスンや冬花の励まし。そして校長がスポーツ推薦の枠に円堂の名を入れてくれたおかげで何とか無事に入る事が出来たという次第である。
また冬花と、皆と、一緒の学校に通う事が出来る…。
それは今の守にとってこの上ないほど喜ばしい事だったのだが、同時に寮に入るにつれてしばし別れなければならない円堂家に少しの寂しさを感じてもいた。
…ずっとココで暮らしてきた。ずっと家族が傍に居たのに。
明日からはもうかーちゃんがお越しに来ない。とーちゃんのおはようがない。他にも、たくさん。たくさん…。
はたしてオレはそこで暮らしていけるのか。『円堂家』ではないその場所で…?
そんな守の心情に気付いたのか、父親はいつもの、優しい笑顔で守に言った。
「ホラホラ守。そろそろ行かないと。電車の時間もあるんだよ?
ー冬花さんも待ってるんだろう?早く行きな?」
元気で、とか。またね、とか…。
今日温子が守を起こしたときからー…。
両親があえてそういう言葉を使わずいつも通りに接してくれていた事にその時、ふと気がついた守は残っていた牛乳を一気飲みするとコップをドン!と机に置き、父たちを振り返った。
大丈夫、オレ向こうでもちゃんと生活できるから。
そんな一言は胸に飲み込み、代わりに言葉ではなく、態度で安心させる様に…。円堂は2人に向かって二カッと笑うと、「行って来る!」と元気に家を飛び出したのだった。