二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 螺鈿細工の黒十字 イナイレ二次小説 キャラ募集終了! ( No.165 )
- 日時: 2011/10/05 20:37
- 名前: 水野ミミ (ID: FMKR4.uV)
第十五話 9月3日 4時間目 午前12時18分 「崩壊理想」(Ideal collapsed)
(炎愁side)
「先生、腹痛いから保健室行ってくる。」
「行ったらすぐ戻ってこいよ。」
もちろん戻るわけねぇよ、っていう言葉は胸の内だけに収めておく。
「……ノート後で見せるから。」
「さんきゅッ、シオン。」
シオンの字は綺麗で見やすいんだよな。
教室を出た後、まぁ授業中だから当たり前だろうが静かな廊下に座る。
「さぁて、何処行くかな?」
サボりの定番の屋上でも行くか、それともまともに保健室行くか。
……よし、前者にしよう。
屋上のドアを開けて、周りを見回す。
よし、誰もいないっぽいな。
そう思って、昇降口の天井に登ろうとして、梯子に手をかける。
頭だけ出したところで、
……やってしまった。
「何の用だァ?」
コイツの存在を忘れていた。
前谷真希、コイツはコイツで結構学校で有名な奴だ。
「別に……なんでもねぇよ。」
「なら、俺の目の前から消えてくんねェか?つか消えろ。」
はいはい、と返事をして梯子から飛び降りる。
よし、着地成功。
「お前もサボりか?」
「……あぁ。」
「授業受けなくていいのかよ?」
「お前に言われたくないんだが。それに俺は友達にノート見せて貰うからな。」
「……友達……?」
あ、今度こそ本当にヤバい気がする。
「へェ?友達なンかいるんだな。友達なンかが。」
奴の赤い目をじっと見たまま返事をしようとする。
でも———
何故だか、それがとても恐ろしい行為に思えて仕方が無い。
「あぁ。」
「……なァ、」
「ん?何だ?」
「……友達の存在意義なんて、あンのかよ?」
友達の存在意義?
無いなんてことは無い、……筈だ。
「あぁ、あるよ。お前は無いとか思ってるのか?」
「友達とか、友情とか皆言うけど、そンなの、どうせ一瞬の失敗で消えてしまうような、儚い物じゃねェのかよ?」
一瞬の失敗で、消えてしまう、儚い物———
本当に、そんなものなのか?
今まで俺が心の中で築いていた何かが、音を立てずに崩れ落ちる———