二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ONE PIECE】 HOPE!! ( No.15 )
- 日時: 2011/02/26 11:12
- 名前: 遊 (ID: .8sHsKzk)
第4話 “任しとけ”
「“ロボロボの実”!?」
“麦わらの一味”は声を揃えて驚く。
「はい」とホープは静かに頷いた。
「ろ、“ロボロボの実”……?」
「ん? どうしたルフィ」
「か、かっけェ〜〜〜〜!!」
「そこかよッ!!」
興奮しているルフィはおいといて、話を進めていく。
「“ロボロボの実”は人を自分の思い通りに操る力があります。その能力を使って操っているのが……おれの父親、タブー・アルデンです」
「しかしその……、“ロボロボの実”ってのは、そんな何百人も操る力があんのか?」
「はい。おかしいのはそこなんです、サンジさん。普通、“ロボロボの実”で操れる人間はせいぜい、一人。こんな大勢の人間を操るなんて聞いたことがありません」
「それは……妙だな」
サンジはさっきまで吸っていた煙草を捨てた。
問題は、アルデンがその能力を利用して、この町をどうしようとしているかだ。
「で、お前の父さんはこの町をどうするつもりなんだ?」
「……この町で、戦争を起こすつもりなんです」
「戦争!?」
再び、麦わら一味の声が揃う。
「父が望むのはこの世界の“崩壊”。人間が操れるのならば、意図的な戦争なんていくらでも起こせます。父は、手始めにこの町を潰そうとしているんです」
「そ、そんな、一大事じゃねェか!!」
「……はい。だからおれ達は皆さんにお願いしたんです。……おれ一人じゃもうどうにもできないから……」
ホープの固く握られた拳は小さく小刻みに震えていた。
「でも、戦争する「きっかけ」がないじゃない?」
「……この町は大きく“表”と“裏”の二つに分かれています。“表”に住む人たちは、豪勢な生活を送り、その陰に隠れるように“裏”の住人はひっそりと暮らしています。“表”の人間は“裏”の人間をゴミのように扱う。“裏”の住人はずっと昔から“表”の人間を憎んでいました。
——憎悪は、「火」です。父はその「火」に「油」を注ぎ込もうとしています。火は大きく燃え上がり……。“陽”と“陰”の戦争が始まります」
もう、我慢の限界だった。
「……お願いします……!! この町を……! おれの町を、止めてくださいッ……!! 大切な……、大切な町なんです……!!」
涙が、馬鹿みたいに止まらない。
目の前の地面に白い水玉が描かれていく。
悔しかった。
いち早くこの戦争に気づいたのに、自分の父親なのに、何もできずにここまで問題が悪化してしまった責任を感じていた。
自分の町を守れない、自分の無力さ、弱さが情けなかった。
ホープは地面に手をつき、“麦わらの一味”に頭を下げる。
もうこれしか、町を救う方法はないのだ。
トントン。
肩を優しく叩かれる。
涙でぐちゃぐちゃの顔をあげると、ルフィの満面の笑顔がそこにはあった。
「ししし! おれ達に任せろ! お前の大事な“町”は必ず止めてやる! だからおれ達に——」
ホープは涙を抑えようと、頑張って堪えていた。
「——任しとけ!」
「っ……!!!」
涙は、堪え切れなかった。顔を隠し、必死に声を押し殺す。
“麦わらの一味”は皆、嫌な顔一つせず笑っていた。
その優しさが、ホープの心に深く沁みる。
「ありがっ……とうございます……! ……! ありがどうございまずっ……!!」
「お前の町、止めにいくんだろ?」
泣き崩れているホープを起き上がらせるルフィ。
「……はい!」
ホープは力強く頷いた。