二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼——薄紅桜ニ誠ノ旗ヲ。 ( No.11 )
日時: 2011/02/23 20:49
名前: ハノ (ID: Gz/gGLCR)

004【仲良し】


部屋の割り振りを決めた結果、軟禁状態の千鶴とひかりは同じ部屋に。
亜美は色々と危険(情報等)なので個室に。

「え、亜美が可哀相じゃん!?」
「…あの子は色々と弱みを握ってるからね、同じ部屋っていうわけにはいかないんだよ」

ひかりの言葉に沖田が苦笑を浮かべる。

「——ま、まあ亜美は腹黒かもしんないけど…」
「ね?」

うぐ、と言葉に詰まるひかり。
其処へ千鶴が現れた。

「どうしたんですか?」
「いや、亜美ちゃんが可哀相だねって話をしてたんだ」
「…、確かに可哀相ですよね、…その、一人だし」

千鶴が頷く。

「一人は慣れてるし、構わないけど?」
「亜美!?」

柱にもたれ掛かっている亜美がそう笑った。

「——今更寂しいとも思わないよ?」

亜美の母親は日々働き詰めで、遂に過労で倒れて死んでしまった。
それはひかりも似たようなことだったのだが。

「……あ、そうそう。沖田さん、土方さんが呼んでたよ?」
「そっか、ありがと。じゃ、喧嘩とかしないでね?」

亜美にそう言われ沖田は亜美を引っ張って土方の部屋へと向かってしまう。
二人残された部屋はしいんと静まり返っている。

「………ねえ千鶴ちゃん、」
「?」
「あのさ、寂しいとか思わないの?」

ひかりがぽつりと話しだす。

「その、お母さんが居なくて」

その言葉に千鶴は小さく肩を揺らす。
しかし、小さく答えた。

「……私、小さい時の記憶が無いから、母様の事もわからないし…
 でもね、父様が居たから楽しかったよ?」

にこりと笑みを浮かべる千鶴。
ひかりはその言葉に同じく笑みを浮かべて「そっか」とだけ言った。
それから、部屋には静寂が訪れる。

「——私も、慣れたのかな」
「……」
「寂しさに」

亜美が言っていた言葉を想い出してひかりが呟く。

「人が寂しさに、一人に慣れる事なんて一生出来ない事なんじゃないかな」

小さく、だけど部屋に響き渡る声で千鶴がそう言葉を紡いだ。



次回は亜美と監察のあの人(←)のお話——…。