二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼——薄紅桜ニ誠ノ旗ヲ。 ( No.27 )
日時: 2011/03/03 17:40
名前: ハノ (ID: Gz/gGLCR)

009【禁門の変—壱—】


元治元年7月。
世に言う、禁門の変があった時だ。

「会津藩より、正式な要請が下った。長州制圧の為、出陣せよとのことだ」

近藤のその言葉に、どよめきが起こる。
皆が顔を見合わせているのだ。———正式な要請など、今までそんなに下った事は無いからだろう。

「そいつぁ、凄えな」

感激した様子の原田の言葉に近藤が眉間を抑えつつ、

「会津藩も、我々の働きを御認め下さったのだ」

と感激した様子で小さく言った。
その言葉に超喜んでいたのは藤堂平助。

「よっしゃぁぁぁ!!新選組の晴れ舞台だ!」
「何言ってやがる、平助。お前はまだ傷が治ってないんだから、留守番だろ」
「ぇえ!?そんなぁ……」
「ま、怪我人は大人しくここで待機すべきかな」

喜ぶ平助にちょっと待った!と言葉を入れる新八。
そして、新八の言葉に落ち込む平助に総司がそう声を掛ける。

「そう言う沖田君もですよ。不服でしょうが、私もご一緒しますので」

そんな総司に山南が冷たく言った。
同時に落ち込んだ溜息を吐く二人。そんな二人を見て、ひかりと千鶴は顔を見合わせて笑ったのだった。

「雪村君、空音君。君たちも一緒に行ってくれるか」
「ぇ…?」

近藤の言葉に二人同時に小さく驚いたような声を上げてしまう二人。

「千鶴とひかりも!?」
「戦場に出てくれとは言わない。伝令や負傷者の手当てなど、今は一人でも人手が欲しい」
「無理にとは言わん。行くか行かないかは自分で決めろ」
「行きます!行きたい!!」

すぐにひかりが手を挙げてそう言った。
千鶴も、

「——私でも、何かのお役にたてるなら。私も行きます!」

隊士を見回した後に決意したようにそう言った。

「千鶴!ひかり!俺たちの分もしっかり働いて来いよ!」
「うん!頑張るね」

平助が腕を見せて言った言葉に、千鶴もひかりも腕を見せつつ頷いた。

「(ついでに、亜美を探さなきゃね。山崎さん不足で死んでるだろうし)」

ひかりがくす、と笑いながら心の中で呟いた。
その時、山南が冷たく言った言葉に千鶴は怯えつつも小さく頷く。

「我等新選組は、これより京都守護職の命により出陣する!」
『おぉぉおぉお!!』

こうして、会津藩からの正式な要請により、長州制圧の為に新選組は出陣することになった。
その後ろ姿を見送りつつ平助が不満げに俺も行きたかったと呟いていた。