二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼——薄紅桜ニ誠ノ旗ヲ。 ( No.28 )
日時: 2011/03/03 17:40
名前: ハノ (ID: Gz/gGLCR)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=20968

010【禁門の変—弐—】


————伏見奉行所。

「会津中将、松平容保様御預かり、新選組。京都守護職の要請により、馳せ参じ申した!」

近藤勇及び新選組の面々は伏見奉行所へと辿り着いた。

「要請、だと?そのような通達は届いて居らん」

門前払いのようなものに、近藤もさすがに驚く、が。
こんな事で負けるほど弱くは無い。

「しかし、我等には正式な書状もある!上に取次いで頂ければ、」
「取次ごうとも回答は同じだ!さぁ、帰れ、壬生狼如きに用は無いわ!」

しっしっと追い払うかのような手の動作にひかりは怒りを覚えた。
が、此処できれていては埒が明かなくなる。

「酷い、…あんな言い方って…」
「だよね……」

千鶴の言葉に頷くひかり。
だが、原田は慣れているかの様に二人の肩に手を置くと、

「ま、俺たちの扱いなんざこんなもんだ」

その言葉に俯くひかり。
何処か、共感できる事があるのだろうか。
その後、かなりの距離を歩いてやっと休むことができた新選組。

「左之さんが本当に膝貸してくれるかもね」

こそっと千鶴に言えば、千鶴は慌てて手を横に振る。
にやにやと笑いつつ、ひかりはこくこくと少しだけ寝息を立て始めたのだった。
その時———…

「———、ひか」

亜美が目を細めて新選組の浅葱の羽織を見ていたことに、誰も気づきはしなかった。



———翌日。
遠くで人々の悲鳴が聞こえて目を覚ますひかり。

「!!」

今日の市中が燃えている。
そのことに気づき、新選組は現場へと急ぐ。

「待たんか!新選組!」

その声に新選組が立ち止まり振り返る。

「我々は待機を命じられているのだぞ!」

その言葉に、土方が鋭い目をして振り返った。

「長州の野郎どもが攻め込んで来たら、援軍に行くための待機だろうが!」
「し、しかし…、出動命令はまだ…!」

土方の気迫に押され気味でいる会津藩の人間。

「自分の仕事に一欠けらでも誇りがあるなら、てめえ等も待機だの云々言わずに動きやがれ!」

駆け出す新選組。
浅葱の羽織が、風に揺れた。