二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼——薄紅桜ニ誠ノ旗ヲ。 ( No.41 )
日時: 2011/03/22 20:41
名前: ハノ (ID: Gz/gGLCR)

017【羅刹と変若水、崩壊への足音】—亜美side—


元治元年、十月の事。
遂に伊東さん達が入隊した。
何だか夜はお酒で盛り上がるっぽいし、亜美達は千鶴ちゃんと一緒にお手伝いすることになった。

そう言えば、うちもひかも——男装なんてしてないんだけど。
良いのかな、などと不安に思って居ても仕方が無いので酒を運ぶ。
伊東さんと飲むとか、まずそっ。

「失礼します」
「空いた器を下げにまいりましたー」

やる気の無さそうな声で言う亜美に、可愛らしい声の千鶴ちゃん。
ひかは何も言わない。
皿を夜風が冷たい外(強調してやる)で洗っていると伊東さんが幽霊のように立っていた。
マジびびった。うん。怖いよ伊東さんオカマ。

その後は何やかんやで大変だった。
沖田さんが助けてくれたのは不幸中の幸い、かな。
そんな夜も次第に明け——……

気がつけば季節は冬。
一面の真っ白い雪はあまりにも眩し過ぎて、思わず目を覆う。
外でひか達がはしゃいでいる声がする、——寝坊した!?
慌てて飛び起きれば、くすりと笑みを浮かべた左之さんが目に入る。

「お早う、——っつうか、おそよう、だな」
「う……朝には弱いもんで」

苦笑を浮かべ、左之さんにお早うと返す。
あれ、そう言えば何か用事があるのかな。

「おっと、忘れてた」
「?」
「西本願寺」

その言葉で、全てを理解した。
アニメもぜんぶ見たし、大体の事は覚えている。
———屯所の移転。
もうそんな時期だったかあ、と小さく笑う。

「ん、りょーかい」

それだけで分かるのかと左之さんは驚いてたみたいだったけど、うちは当たり前の様な表情を浮かべて見せた。
でも、——でも、あくまでまだ仮定のはず。
西本願寺はイヤだなあ、幽霊とかでそうだしさ。

「……左之さん、もうやだ」
「はぁ?」
「伊東さん」

そう言えば、左之さんは成程と頷いて見せた。
多分、伊東さんの事は皆が嫌っているんだろうね。

今思えば、もう既に変若水を山南さんが服用してもオカシクない時期なのに。
羅刹が増えてもオカシクない時期なのに、
気付かなかった、うちは馬鹿?




気を緩めすぎる事も——命取りだって、わかってたのに。