二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 銀魂/我が愛しのロクデナシ ( No.1 )
日時: 2011/02/26 11:11
名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)

 

 愛しき人よ、わたしにどうか夢を見せて。
 何度折れたって構わないから、わたしに刃を持たせて欲しい。貴方を失った悲しみは、静寂の中で幾度も形を変えて此処に辿り着いた。
 全てを失くした終曲の旋律に踊り狂い、そのときにわたしは貴方の元へ行くから。今はせめて、深く深く落ちて行きたい。ノクターンの終いまで。だから、どうかわたしに、最後の夢を見せて。



       
      
                         
 
 散らした花をあつめて





 


 ————如何するんだい、お嬢さん?

 闇の中に決して溶けない、鋭くも甘い響きを聞いた。聞くな、そう思った。わたしの答えなど、貴様には解りきっている筈だから。醜いわたしにこうして酷く無様な答えを求める。奴は、鬼になりたいのか。愚問。こいつは立派な鬼だ。

「・・・・・・無論、貴様に従おう。それと、お嬢様なんて呼び方は止めろ。吐き気がする」
「そりゃ、悪かったな」
 クク、と喉の奥で笑って、高杉はわたしの頭をぽん、と軽く叩いた。
「・・・わたしは貴様の駒だろう。偽りの優しさはいらないし気味が悪い。もっと荒くわたしを使えばいいのに」
「へェ、まさかお前さんがそんなにマゾだとは知らなかったな。・・・棗、お前は俺の駒。そらァ十全だな。じゃあお前も俺の趣味に付き合ってくれよ」
「ふん、最低な男だよ、お前は」

 痺れそうな応酬もお開き。わたしは一言奴に罵声を浴びせ、くるりと身を翻した。奴も、高杉も同じようにして、二人は背中合わせの間にある冷たい温度を身に感じる。


「———行って参る」

「せいぜい気をつけるこった、クソ女」


 
 最後まで汚い言葉を使うそいつに、わたしは舌打ちしながらも、どこか新しい風を感じていた。
 わたしはここで終わりかもしれない、高杉。貴様はこんな醜き魂を、拾いに来てくれるのだろうか。甘い夢を、そっと数えた。