二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.115 )
日時: 2011/04/14 18:59
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第10話 紅桜ってさ、ある意味怖い桜だよね。だって赤いもん。


「そこの奴……」

 怜悟は歩みを止め、後ろを振り向いた。
 そこに居たのは、傘をかぶり刀を持った男だった。顔は見えない。
 刀身が月夜に照らされ、血を吸ったように赤く染まっていた。

「誰だ?」

 怜悟は警戒しつつ、その男に訊いた。手はきちんと背負っている斬鉄の柄に触れている。
 そんな反応が楽しいのか、男は声を押し殺して笑いだした。

「何をそんなに笑っている?」

「いや? 別におかしくないよ。ただ楽しくてね?」

 男は刀を振り上げ、空中で一閃。
 その瞬間、怜悟の肩から滝のような血が噴き出してきた。

「なっ————?!!」

「さようなら。破壊神、月読怜悟」

 怜悟はそのまま地に倒れてしまった。

***** ***** *****

「……」
「「「「「…………」」」」」

 万事屋銀ちゃんでは、無言の空間が続いていた。
 お客としてやってきたエリザベスは、何も喋らずにずっと皆の前に座っているだけだった。

「……で、お前は何で来たんだ?」

 オーナーの銀時が居ない為、代わりとして翔がエリザベスに訊いた。
 何も答えない。10分前からこんな状態が続いていた。
 やがて、そんな息苦しい空間に耐えきれなくなり、鶴姫が根を上げた。

「もう!! 何ですか、この人。全然喋らないじゃないですか!」

「こいつは人なのか?」

 毛利が怪訝そうに顔を歪めながら、鶴姫に問う。
 翔は首を傾げて、新八に「銀時のイチゴ牛乳を持ってこい」と頼んだ。

「でも、銀さんが怒るんじゃないかな?」

「この前に俺が大切に取ってあったチョコを食べやがったからお返しだ」

 吐き捨てるように理由を話し、翔はまた無言になる。
 新八は言われた通りに銀時のイチゴ牛乳をグラスに注ぎ、エリザベスの前にトンッと置いた。
 すると、エリザベスはそのイチゴ牛乳を見た途端、泣きだした。

「ビンゴだ! そんなに好きなのか、イチゴ牛乳!!」

「やったアル。新八、でかしたネ!」

「あれ、これで良かったのだろうか……」

 エリザベスがイチゴ牛乳好きだと分かったらしい。
 その時だ、1つの風が吹いてスタンッと床に誰かが降り立った。
 宙を舞う黒髪、全員を見据える翡翠色の隻眼。言わずもがな、王良空華である。

「おう、どうした空華。何かあった————」

 翔が気楽そうに返事をしたが、途中で息が止まっていた。
 何故か? それは、空華が背負っていた青年を見てだ。
 血に濡れた黒髪。だらりと力なく下がっている白く細い腕。本来なら細い切れ長の紫の瞳が見えるはずだが、今は閉じられている。
 全員が良く知る仲間————破壊神、月読怜悟である。

「怜悟?! どうしたんだ、おい?!」

 いつもの冷静さを忘れ去り、翔は空華に背負われている怜悟を揺さぶった。
 しかし、怜悟は目を開かない。静かに閉じただけだ。
 空華は苦虫を噛み潰したような表情を作り、何故こうなったかを説明し始める。

「朝に見たら、橋の上で倒れてたらしい。このままだと死んじまうって思って……。俺様は傷を癒す技はないから……。どうしよ、翔?!」

 必死の表情を浮かべる空華は、翔を頼る。
 とりあえず怜悟を安静な所に連れて行こうと言う訳で、奥に敷いてある翔の布団に寝かせる。

「……まだ生きてる。でも、急速に死亡時刻に向かって行ってるから……、佐助。真選組から希実を借りてこい!」

「了解」

 傍で控えていた佐助に命令し、翔は立ててあった炎神を背負い万事屋から飛び出した。
 目的は凜の所。情報を集める為に——