二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.117 )
- 日時: 2011/04/15 18:31
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第10話 紅桜ってさ、ある意味怖い桜だよね。だって赤いもん。
鶴姫の悲鳴が聞こえた方向へ走って行くと、そこに居たのは岡田似蔵と地に倒れた銀時、そして沢山の奉行所の奴らだった。
武将達が、必死の形相で銀時の名を呼んでいる。
翔は何が何だか分からず、その場に立ち尽くしていた。瞳の奥が震えていて、焦点が合っていない。
そんな翔を横目に、雫はホルスターから銃を引き抜き、岡田に突き付けた。
「そこの奴!! 銃姫・山本雫の名の下に貴様をこの場で処刑する!」
「へぇ、面白い娘が最近では居るもんだねぇ」
岡田は切れた腕を押さえ、赤く光る刀を持っていた。そして、汗の滲む顔に笑みを浮かべる。
その時だ。
闇の中に奔った銀影。誰もがシノかと思ったが、違っていた。
その銀色は鎌の刃。夜空に高々と突き上げ岡田に向かって行くのは、翔の姿だった。
「岡田、似蔵だな。お前を殺す」
その声は、今までも翔の声よりも低く、そして冷たく無感情で、ナイフのような声だった。
誰もが翔の名を呼び止めようとしたが、誰の声も聞こえていない。
すると、凜とした声が、闇に響いた。
「岡田さん、何で負けてるんスか。俺が出る幕じゃないでしょうがぁ」
翔の瞳が開かれる。
聞き覚えのない声。しかし、この気配はいかにも————死神?
「ダメだよ少年。岡田さんには、まだまだ働いてもらわなきゃいけないんだから」
背後に降り立った亜麻色の青年。短い亜麻色の髪が夜空に舞い上がる。
誰もが錯覚を覚えた。明らかに、その青年は凜と酷似している。
「……お前、まさかっ————」
翔の言葉が終わる前に、青年は武器を横へ滑らせた。
月明かりに照らされて映し出される銀色の鎌。間違いなく、それは死神が使う鎌である。
ゆっくりと翔の体が、地に向かって倒れて行く。
熱い傷口から血が流れ、宙へ舞い空を赤へ彩って行く。
「……市ノ瀬、蘭」
そこで、彼の意識は途切れた。
***** ***** *****
一方である。
神楽は定春と一緒に桂の動きを探って、港までやってきていた。
もう夜である。13歳の彼女にとっては少々きつい仕事である。くぁ、と欠伸をして定春に言う。
「定春、もう帰るヨ。ヅラなら生きてるってー」
帰ろうと定春に言うが、定春は前を見据えたまま動かなくなった。
そこにあったのは、大きな木製の船だった。静かにそこに佇み、何かを物語っているようだ。
神楽がそこに特攻しようと番傘を構えた瞬間、誰かに肩を掴まれた。
「ッ!! 誰アルか?!」
振り向きざまに番傘を相手に突き付ける神楽。
月夜に照らされ、輝く銀髪。と金髪。シノとミウである。
「どーしたのかなって思って。通りかかったからね?」
両手を挙げ、フリーズする2人。表情には苦笑を浮かべている。
神楽は番傘を下ろし、今までの経緯を話した。
「つまり、翔達は赤い刀を追っていて、神楽ちゃんはあの船に特攻すると……。アタシも行くわ」
「何を言うアルか?! シノ達は関係ない、私1人でも——」
「戦力は、多い方が良いと言いますし。優奈だって私だって、簡単にはやられません。人は見掛けによらないんですよ」
シノとミウは、心配する神楽に笑顔を見せた。
神楽はそんな2人に観念したのか、黙って背中を見せた。いいよ、と言っているのだろうか。
「じゃ、行こうか!!」
「おう!!」
「了解です!!」
3人は船に乗り込んだ————