二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.119 )
日時: 2011/04/17 16:39
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第10話 紅桜ってさ、案外怖い桜だよね。だって赤いもん。


「うぉらあぁぁ!! アタシらをここから出せぇぇ!! そしてお前らはくたばれぇぇ!!」

 折檻され、必死に檻を叩き壊そうとするシノ。目が必死。
 一方、捕まっているのを楽しんでいるのかあるいは自覚していないのかミウはニコニコと笑っていた。
 ちなみに言うと、神楽もシノと同じく檻を壊そうと必死である。

「だーもう!! 何でここから出られねぇんだよ。マジざけんな。死ね!」

 フープでガッツンと檻を叩くが、一向に壊れない。
 そんな3人を、来島また子と武市変平太は耳を塞いでジト目で睨んでいた。
 いや、睨んでいても静まりませんよ。その2人は少なくとも。

「何なんスかァ、武市先輩。こんな奴ら、さっさとやっちゃいましょうよ」

「うるさいですね、これだから猪女は。もう死ねばいいのに」

「お前が死ねばいいのに」

 静かに舌戦を繰り広げる2人に向かって、ミウはフープを投げた。また子の頭にぶつかり、バウンドして手に戻ってくる。
 やはりいつものニコニコ顔を浮かべて、そして一言。

「うるさいから静かにしていてくれません?」

「ハァ?! 人質の分際で何を——!!」

「また子さん。あなたはまだ気付かないのですか? 彼女達の正体ですよ」

 武市は顎をしゃくり、3人を指す。

「あの娘は夜兎族ですし、こちらの金髪娘は金叉族。さらにあの絶滅したとまで謳われた夜叉族の子もいますし」

「だから何だってんスか。強いんスか? こいつらが?」

 信じられないと言うようにまた子はシノに視線を送る。
 今まで「ただキレる」という行動を繰り返していたが、今此処でシノのバロメーターは破壊。プチッという嫌な音が頭の中から聞こえてきた。
 瞬間、メキッという音が檻から聞こえてきた。
 何事かと思った全員は、音がした檻に目を向けた。
 音を作ったのは、シノだった。手に握っていた檻が、へし折られている。

「な、な?!」

 まさか、シノが折った——?
 檻から除くシノの瞳は、どこまでも赤く紅く紅く、血のように染まっていて————、

 犬歯が覗く口から赤い舌を少しだけ外に出し、シノは剛腕を振るった。

***** ***** *****

「なぁ。変な音が聞こえてきたんだけど、気のせいだよな」

「気のせい、で済むと良いな……」

 新八、翔、凜、雫、武将メンバーは高杉一派の船に近付いていた。
 敵兵が多すぎて特攻するにも出来ない状態に追い詰められている。さて、この状況をどう突破しようと言う話だ。
 うーんと翔としんぱちが頭を抱えていると、敵兵の前に孫市が飛び出した。
 銃を乱射しながら船に突っ走る孫市。そうか、正面突破かー、っておい!!

「孫市ぃ!! お前は何をしてるんだ、敵の方が俺らより圧党的に多くて強いぞ!!」

「それがどうした」

 政宗が、胸を張って堂々と答えた。
 武将メンバーが、妙に頼りがいがありそうな感じがする……。どうしてだろうか。
 きっと全員は、こういう状況を数多く繰りぬけてきた戦の玄人なのだ。

「ここは俺らに任せな!! 派手なPartyにしてやるぜ!」

 初めから6本の刀で敵を斬りつける政宗。
 あーぁ、この始末はどうするかなんていつもは考える翔だが、今回だけは別だった。
 タタッと先陣を切って道を走り、後ろに控える新八達に告げる。

「武将達の力を無駄にするな! 行くぞ!!」

「あ、ちょっと待って?!」

 新八が全員を止める。
 忙しそうに凜は「何?!」と新八に訊く。

「船の先頭に居る人って、神楽ちゃんとシノさん達じゃ——?!」

「「「「ハァ?!!」」」」

 確かに、船の先頭に磔刑をされているのは、シノとミウと神楽の姿だった。


 一方、シノとミウと神楽は、命の危険にさらされていた。
 船の先頭に張り付けられ、逃げられないようにされている。一体どうしたら逃げられるだろうか、と一生懸命考え中である。
 シノは大きなため息をついた。

「もう死ぬしかないかなー」

「そんな事を言わないでくださいよ。悲しくなるじゃないですか」

「そうアル。絶対、誰かが助けてくれるネ!」

 落ち込むシノを、2人は一生懸命元気づける。
 その瞬間、目の前がいきなり明るくなった。相手の船から光線が撃たれたのだ。
 今にも当たりそうな3人の前に、

「地獄業火、獄炎乱舞!!」

 炎が生まれた。
 光線を相殺し、辺りに煙を立ちこめさせる。
 曇天の空に生まれた4つの人影——翔達である。

「「「翔、凜、雫、あと誰だっけ?」」」

「酷ぇなお前ら?!」

 新八は「そんなに影、薄いかなー」とつぶやきながら、神楽達の縄をほどく。
 騒動が気になって来たのか、また子と武市、そして蘭の3人が甲板に現れた。
 蘭は7人の姿を瞳に捕らえると、苦笑を浮かべる。

「一体どうやってビームを相殺したのさ? 教えてほしいね、死神の俺に」

「そうッス! 誰の回しもんスか?!」

 また子は銃を構えながら叫ぶ。
 翔はにっこりと笑い、雫はあははと豪快に笑い、シノはため息をつき、凜は舌打ちをし、ミウは楽しそうにけらけらと笑う。
 全員と別行動をしてなお、戦い続ける武将達も笑う。
 そして、空に浮かぶ青い青年も笑顔を作って。

 全員でこう言い放った。




「「「「「「「宇宙1、馬鹿な侍だ。このヤロー!!!!!!!!」」」」」」」