二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.120 )
- 日時: 2011/04/17 18:12
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
本当に憧れていた。あの「永遠の命」という存在に。
近付きたくて、手に入れたくて、自分の傍に置いておきたくて、だから下法な手段を使ってしまった。
今思えば、本当に馬鹿な事をしたと考えれる。
あの高尚な存在に、人間である俺は近付けなかったのさ。
そう。目の前に居る死神は、闇夜を照らす赤い赤い炎の色——。
第10話 紅桜ってさ、案外怖い桜だよね。だって赤いもん。
翔は炎神を背にあるホルダーから抜き、新八に言う。
「ここは俺に任せて、先に行け」
「え、でも——」
心配する新八に、翔は柄にもない笑顔を見せた。純真無垢で、真っ白な子供のような笑顔を。
うろたえる新八の襟首をつかみ、神楽は雫と共に奥へ駆けだして行った。
数々の人達を蹴散らし、また子と武市との戦いにたどり着く。
翔はそこで蘭を睨みつけている凜に、冷たく冷静な言葉を言い放つ。
「お前は使えないからそこら辺の奴らを裁いてろ」
「ちょっと、それはないんじゃない? 兄妹で戦わせるのがシーンでしょ? 空気読みなさ——」
凜が言葉を終えないうちに、翔は凜に炎神を突き付けた。
ギラついた刃が、目前で自分を断ち切らんとしている。思わず腰が抜けた。
「これは、俺の戦いなんだよ。邪魔をするな」
さっきまでの笑顔をどこへやったのか、翔の瞳は機械のように虚ろだった。
キュッと唇を固く結び、凜は素早く立ち上がって周りに居た連中に拳を叩きこんでいく。
察したのだろう。自分が兄に敵わないと。
察したのだろう。自分が翔に敵わないと。
だから彼女は、彼らの戦いを妨げる連中を倒そうと、その拳を振る決意をしたのだ。
その戦い方があまりにも美しく、派手な戦い方だった。
「……面白そうじゃん」
床に座り込んでいたシノは、にやりと笑いフープを担ぐ。そして横一閃に振った。
まとめて2、3人が一気に宙へ放り出される。
ミウもそんなシノに倣い、フープを横へ縦へ振り相手を宙へ投げ飛ばして行く。
「まったく、翔さんの自分勝手さには呆れますね」
ミウは4人目を素手で投げ飛ばしながら、小さくため息をついた。
傍で8人目辺りを宙に放りだしながら聞いていたシノは、とりあえず苦笑で誤魔化しておいた。そして、ちらりと向こうで戦う凜に目を向ける。
どこか必死そうな表情。ついでに翔達の方にも目をやってみる。
2人は睨みあっているだけで、動こうとはしなかった。
「……Let's Party……」
シノは力なく言うと、周りに居る敵全員を紅の瞳で睨みつけた。
***** ***** *****
近付くだけじゃダメなんだ。手を積極的に伸ばしていかないと。
でも、それでもダメなんだと分かっていた。
だって俺は、人間なんだから。あの高尚な存在に、なれないぐらいは分かるんだ。馬鹿でも分かる。
あぁ、何て諦めが悪いんだろうか。
「お前は、俺らに近付く事も出来ないよ」
その冷徹な言葉に、
その冷たく光る瞳に、
闇夜に浮かぶその青白い肌に、
己の心を焦がさんとばかりに燃えるその炎に、全てに、
俺は憧れたんだ。死神と言う存在に。「東翔」という存在に。
***** ***** *****
ガキンッと金属が触れ合う音がすると同時に、地に人が倒れる。
これで何人倒しただろうか。政宗はそう考えて、刀を振る。
周りの全員は、敵を取りあったり仲間同士を傷つける事無く相手だけを斬っている。それは翔が、新八がこの先に居るからだろうか。
刹那、相手の1人がナイフを構えてこちらに走って来た。
ボーとしていた為反応が遅くなり、刃が目の前に迫る。
「しまっ……!!」
しかし、その刃は政宗には当たらなかった。
そーっと目を開ければ、政宗の前には小十郎の背中があった。
ナイフを弾き返し、小十郎は自分の主を傷つけようとした相手を斬りつける。そして安否を確認するかのように急いで振りかえった。
政宗は首を横に振り、「大丈夫だ」と言うと小十郎に背を見せた。
「小十郎。お前は、俺の背中を守れ」
「承知しました。この小十郎、あの日の誓いに懸けて!」
「へぇ。頑張ってるじゃん♪」
全員の時が止まった。
何故か? あるはずのない所に、人が立っていたからだ。
曇天の空に青い青い髪をちりばめて、翡翠色の双眸をゆがめて笑う、宙に浮く青年。白いコートに手を突っ込み、空に浮く。
青年は静かに地へ降り立った。
「ねぇ。俺の事、知ってるかな?」
近くに居た男を自分の目の前に引きよせ、青年は問う。
返答に迷っている男は、ふとある名前が頭によぎった。
「お前——最終兵器(リーサルウエポン)……?!」
次の瞬間、その場に居た相手全員が、爆散した。
ドンッという音と同時に、全ての人が服だけを残して消えてしまったのだ。
何が起きたのか分からず、武将達はその場に立ち尽くすしかなかった。
しかし、三成は持っていた自分の刀を青年に押しつけ、睨みつけて問う。
「貴様は何者だ?」
青年はにっこりと笑うと、自分が何たるかを言葉にして紡いだ。
「俺はね、スカイ。スカイ・エルクラシスって言うんだ。さぁ、行こう。
最終合戦の時だよ」
青年、スカイが向けた手の先には、もうすでに宙へと浮く船があった。