二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.121 )
- 日時: 2011/04/17 18:49
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
誰よりも。何よりも。
俺達は強く、強く、人を見て行かなくてはならない。
たとえその感情が朽ち果てて、笑えなくなったとしても。俺は最期まで、人類を見届けてやろうと思う。
周りの奴らが死んでいっても、俺は奴らを天国へ送ってやる。
でも、どうしてだろうな。
どうにもこいつだけは、気に食わない。
第10話 紅桜ってさ、案外怖い桜だよね。だって赤いもん。
睨みあって数10分。ようやく動き出したのは、蘭の方だった。
身の丈を超える大きな鎌を振り上げ、翔へ向かっていく。
しかし、相手は本当の死神である事を、蘭は忘れていた。
「甘いな」
振りおろされた所に、翔はすでに居なかった。
床に刺さった鎌を無理矢理引き抜き、蘭は翔を睨みつける。
体がおかしい。心臓の鼓動が速くなり、息が荒く目が霞む。
「体にガタがきてんだろ。一朝一夕で死神になれると思うなよ、人間が」
炎神を振り上げ、翔は言う。
それは、蘭が好きだったどこまでも冷たく、冷徹な無感情の声で。
「ここで朽ち果てな」
その時だ。
翔の背後で、凄まじい爆発音がした。
何事だと思い、全員の視線が爆発音の方に向く。
そこにあったのは、沢山の触手を自らの体に生やし、触手で銀時を捕まえた岡田の姿だった。
「なっ——。岡田さん?!」
蘭は翔の横を素通りして、岡田へ向かう。
だが、岡田は触手の腕を振り回して蘭に攻撃をしてきた。
自分に向かってきた触手を斬り、宙を舞い距離を取る蘭。
「岡田さん! どうしちゃったんですか?!」
「大かた、紅桜に侵食されて理性をふっ飛ばしちゃったかだよねー」
軽い声がして、宙に黒髪が舞う。
翔の双眸が、その青年の姿を捕らえた。
「空華?!」
「ハロー。元気そうだねー、翔」
空華は笑い、翔に手を振る。
翔は面倒くさそうに舌打ちをして、岡田に炎神を向けた。
「一体どうなってやがる? 何で銀時が岡田に捕まっていて理性を失ってやがるンだ?!」
「そりゃぁ、体にガタがきたんでしょうけど。俺様は関係ないけどねー、あの岡田が死のうが生きようが♪」
言葉とは裏腹に、その表情には残酷そうに笑う忍びとしての空華が居た。
触手が蘭を捕らえようと伸びる。
蘭は咄嗟に後ろへ下がったが、時はすでに遅し。もう1本の触手に捕まり、捕らえられてしまった。
「あーらら。今度こそ終わったね。翔が手を下すまでもなかったじゃん」
残酷そうに言い放つ空華の言葉を無視して、岡田に飛びかかろうと歩みを進めた翔の横を、亜麻色の何かが通った。
拳を構え、岡田に向かっていく女——凜である。
「凜?!」
「これでもね、私の兄なのよ!! ろくでなしだけどッッ!!」
触手を掴み、腕力だけでちぎる。そして岡田の足に低い蹴りを叩きこんだ凜。
しかし、その攻撃は岡田には効かず、凜は触手に捕まってしまう。
「く……ッ!」
苦しそうな声が、凜の口から洩れた。
酸素が足りずボーとする頭で、凜は岡田の顔面を蹴り何とか触手から逃れる。
「り……っ、くっ……」
死神の力が体に負荷をかけ過ぎたのか、蘭は苦しそうにうめいた。
岡田は虚ろな目をこちらに向け、襲いかかってくる。
あぁ、これで終わったなと誰もが思った時だ。
「だらしねぇなー」
炎が辺りを包んだ。
真紅の業火を目の前にして、翔は嗤う。横には空華、シノ、ミウが居る。
凜を心配して駆けよって来たのは、雫と神楽と新八である。
「翔ちゃん、この船を倒壊……てのは勘弁してね。うちらまで死んじゃうから」
「手加減するよ」
翔は炎神を掲げ、銀時を狙わないように————
「地獄業火、獄炎乱舞!!」
炎を振った。