二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.122 )
日時: 2011/04/17 19:15
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第10話 紅桜ってさ、案外怖い桜だよね。だって赤いもん。


 岡田を倒し、炎も消えた。
 シーンと静まる空間に、ぱちぱちと言う拍手が聞こえてきた。

「お見事お見事。あの紅桜を破壊しちゃうなんて、流石だな。炎の死神、東翔」

 宙になびく青い髪、スカイである。
 翔は面倒くさそうに舌打ちをして、スカイを睨みつけた。

「冷やかしなら帰れ」

「えー、せっかくこの人達を連れてきたのにー。いけずー」

 口をとがらせてスカイは、後ろに居る武将達を見せる。

「お前ら、いつの間に?!」

「さっきからだけど。翔がそいつをやっつけたのか?」

 手加減をしたから黒焦げになって倒れている岡田を指して、家康は訊いた。
 翔は答えにくそうに唸ったのち、小さくうなずいた。
 スカイは翔の前に立ち、子供のような笑みを浮かべる。

「さ、ここから早く脱出しようか♪ そろそろヤバいし、敵さんもたくさん来るでしょー」

「悪いが、そうさせてもらえねぇな」

 和やかな雰囲気をブチ壊すかのように発せられた、冷ややかな声。
 入口から差し込む光を背に、高杉晋介が煙管をくわえながら入って来た。

「久しぶりだな、炎の死神」

「……高杉!!」

 翔は高杉を睨みつけ、警戒するように炎神を構えた。
 そんな翔を見て、高杉は冷静に笑みを浮かべる。

「おいおい、警戒するなよ。昔みたいに仲良くやろうぜ?」

「黙れ!! 貴様にそそのかされて、何人の人がこの手で消えたか……ッ!」

 ギリッと炎神が折れるように力を込め、翔は叫ぶ。
 高杉は煙管を口から外し、ふぅと煙を空中に吐き出した。そしてくすくすと声を殺して笑う。

「でよぉ、お前ら。気付いてるか? 宇宙戦艦、春雨。俺らはそいつらと手を組んで幕府を壊そうとしてるんだよ。お前らの首を持って行ったら、上手く事が運びそうだ」

「……たーかーすーぎーてm「うるさいな」おい、誰だ俺の台詞を塞いだのは」

 反論しようとした翔の前に、空華が現れる。
 佐助が翔の首根っこを持ち上げ、そして出口へと走り出した。

「おい、佐助?! お前ら!!」

「だーいじょーぶよー、翔。俺らが後始末はしておくからー」

 全員が最後に見た物、それは——空華と怜悟の姿だった。

***** ***** *****

 空華はため息をついて、苦無を構えた。
 隣に居る怜悟も同じくため息をつき、斬鉄を構えた。

「まったく、怪我してまで戦場に来る馬鹿がどこに居るかね」

 冷やかすように空華は、怜悟を睨みつける。
 怜悟は視線に気づかないふりをして、明後日の方向を見上げた。

「まぁ、俺様が言いたいのはそれだけじゃないんだけどー。高杉晋介だっけー? 指名手配犯が何を言ってんだか」

 笑顔から、残酷な表情へ移す。

「君らはどうせ、死ぬんだしさ。翔みたいに死神じゃないんだし、別に良いんじゃない? もがくならもがきなよ」

 それだけ、といい残し、空華は怜悟を連れて海へ飛び立った。



 紅桜編。これにて、お終い!!