二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.126 )
日時: 2011/04/19 18:06
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第11話 動物は最後まで大切にしてあげなさい。


 夜である。ズシャァァァァ!! という音で、翔は覚醒した。
 まだ夜中の3時(という設定)である。眠い目をこすり、音がした方向を見据えた。
 闇の中でも映える赤い髪と闇の中に解ける黒い髪、神楽と桂が1つのゲージの前で座り込んでいた。

(あそこは確か……あの犬の……)

 翔の思考はそこでストップする。いつの間にか自分の足が動いていたのだ。
 闇を斬り裂き、2人にゆっくりと近づく翔。

「で、そいつをどうするつもりだい?」

 後ろを向いて、犬をゲージから取り出そうとする神楽の肩が震えた。
 腕組みをし、呆れたような表情を浮かべて立つ翔は、犬に目を落とした。
 フラフラとした足取りで外に出る犬。まだなおも、飼い主に会おうとしているのだろうか?

「……翔。私、こいつ——」

「皆まで言うな。大体は理解している」

 翔はそれだけ言うと、フイと2人に背を向けた。
 桂は犬を抱え、清々しいほどの笑顔を浮かべて犬に言った。

「よし分かった。おじいさんに会いに行「く訳ねーだろうが!!」ぶべらっ!」

 翔が最後に見た物は、犬が人語を喋り桂に飛び蹴りをかます瞬間だった。

***** ***** *****

 3人は犬を連れてファミレスに居た。
 どうやら犬が言うには、自分はこの地球を食いに来た「寄生腫X」通称星喰という存在らしい。
 数多の生物に寄生し、星を侵略し食い荒らすと言う奴である。
 次の星は地球にしたらしい星喰は、目をつむって星に飛び込んだらしいのだ。
 そうしたら、胎の中で死にかけていた犬に寄生したらしい。

「……馬鹿だな?」

「馬鹿じゃない。星喰と言え」

「馬鹿だろうが、本当に馬鹿だろうが」

 翔がオレンジジュースを啜りながら、星喰に向かって辛辣な台詞を言い放つ。
 星喰はガンガンッと自分の頭をテーブルに叩きつけ「何で馬鹿な事をしたんだ俺はぁぁ!!」と叫んでいた。本当に馬鹿だな、テーブルにひびが入ってるぞ。

「結局、生きてきて出来るようになったのは逆上がりだけだよ! どうしてくれるんだちきしょー!!」

「……何こいつ。マジで馬鹿なのアホなの死ぬの?」

「すいませーん。この天人、レンジでチンしてホットドッグにしてくださーい」

「いやあああああぁぁぁああ!!」

 神楽の辛辣なボケに、悲鳴で答える星喰。
 ブランと足を投げ出し、神楽はため息をついた。

「モチベーション落ちたアル。帰る」

「俺も帰りたい」

「まぁ待て、お前ら」

 帰ろうとする2人を、桂は静かに止めた。
 もしかしたら、おじいさんは星喰と気付いていないこの犬に、会いたいのかもしれない。
 最後くらい、いい事をしてやろうと2人を説得する。
 翔は乗り気ではなかったが、神楽が渋々と「分かったアル」と言ったので、嫌々承諾した。
 すると、何か変な声が聞こえてきた。

「くくく、星喰。やっと見つけたぞ」

 ファミレスの外に、猫の集団が現れた。
 3人の時が、完全に止まる。
 え、何でこの時に限って猫の集団が来るの。そんな事を考えている様子だ。
 だが、星喰だけは違った。もさもさの毛だらけで区別出来ない目をくわっと見開き、奴らの存在が何たるかを言葉にした。

「ほ、星吐……?!」

 ガシャン、と窓ガラスが割れて猫の集団が飛びかかった。