二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.139 )
日時: 2011/04/23 17:05
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第12話 ロボットは怖い、バグが怖い。


「やはり、持っていたんですの」

 悦子ちゃんは笑ったままで言う。そして手に持ったモップを構え、銀時に向かって走り出す。
 後ろや横、前からも悦子ちゃん悦子ちゃん悦子ちゃんが攻撃を仕掛けてくる。
 これはもう、絶体絶命かと思った。次の瞬間——

「散り桜」

 凜とした声が聞こえてきて、季節でもないのに桜が咲き乱れて悦子ちゃんを攻撃する。
 空に舞い上がった黒髪。怜悟かと思ったが、違かった。
 翡翠の瞳を優しそうに歪め、青年・空華は首を傾げる。

「楽しそうな事をしてるじゃないの」

「これが楽しそうなのかよ!」

 慶次は空華に向かってツッコミを入れる。
 悦子ちゃんは空華の方を一瞥し、声を低くして問いかける。

「誰ですの? 邪魔をしないでほしいですの」

「残念だけど、それは出来ないよ〜」

 ヘラヘラと笑いながら、空華は武器である苦無を構えた。
 悦子ちゃんの眉が顰められる。何だろう、と思っているのだろうか。

「忍びですからね、こういう武器を使うんですよ? え、おかしいかな?」

「あなたではありませんの。他にも気があるんですの——2人」

 ぐるりと首を辺りに巡らせ、悦子ちゃんはその2人を探そうとする。
 翔と怜悟は居ない。だとすると————


「空華ー、何で俺も混ぜないの?」

「そうそう。こんな悦子ちゃんだらけの戦争に巻き込まれているなら楽しそうだしねー」


 悦子ちゃんの集団の前に現れたのは、スカイと燐菜だった。

「何ですの、あなた方は!!」

「別に? 俺らはしがない住人さー」

 スカイが面倒くさそうに答えたと同時に、燐菜が動いた。
 彼女の腕に青い色の光がともる。
 燐菜は歌うように言葉を紡いだ。

「天王星の力、今開放せよ!!」

 藍色の光が強くなり、悦子ちゃん達が次々に倒れて行く。
 スカイはヘラヘラと空華と同じように笑い、その場に立っていた悦子ちゃんを丁寧に蹴り倒して行った。

「早く行きなよ。ここは俺らにお任せ☆」

 スカイはいつもの笑顔で言うと、悦子ちゃんに右ストレートを叩きこむ。
 全員は顔を見合わせ、源外の元へ向かう。
 しかし、そこで新たな悦子ちゃんの集団が現れる。
 銀時はたまの首を新八に押しつけ、武将も含めた全員に言う。

「そいつを連れて早くジーさんの所に行け!」

「え、でも銀さん……!」

 ためらう新八に背中を向け、銀時は木刀を振る。
 同じように武将達もそれぞれの武器を振り、悦子ちゃんを次々に倒して行く。
 残った新八は決心をして、源外の元へ走った。

「何故あなた方は私を守ろうとするのです?」

「知らないなら教えてあげますよ!」

 新八は小脇に抱えているたまへ言う。


「侍は、女の子の涙に弱いんです!!」


 その言葉を聞いた瞬間、背後にゾワッとした殺気が這いあがった。
 後ろを見れば、男のロボットが新八に向けて手を振り上げていた。

「目標確認。駆逐します」

 そこで新八の意識は途切れた。

***** ***** *****

 周りの騒動がうるさくて、シノは目を覚ました。
 何事かと思い、頭を掻きながらベンチを起きあがる。
 すぐそこの大通りには、大量の悦子ちゃんが歩いていた。

「……ミウ。現状は」

「えーと、悦子ちゃんの集団が歩いてます。どこかに向かうみたいですね」

 ジャングルジムで外を眺めているミウは、シノの質問に答えた。
 シノは軽くため息をつくと、ベンチから立ち上がりフープを構える。

「行こうか。なんか楽しそうだし」

「そうですね」

 2人は公園の外へ駆けだした。