二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.149 )
日時: 2011/04/28 20:02
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第13話 雨は必ず上がる。


 翔達は結野アナの実家に来ていた。
 大きな木製の門を前にして、銀時はシリアス顔で言う。

「話をつけに行こうじゃねぇか」

「いや、待て。ここは結野衆の屋敷だぞ。入っていいと思って——」

 翔が銀時を止める以前に、銀時は門を蹴破ってズカズカと屋敷内に入って行った。
 後から幸村、政宗が続く。どうして皆はこうも話を聞かないんだろうか。
 で、皆は見た。屋敷の中に大きな鬼の式神が居たのを。

「……何、あれ」

 佐助は隣に居る新八に訊いた。
 新八は首を傾げて、「さぁ?」と答えた。というか、それしか答えたくなかった。

「フッ。心配するな、お前ら。こっちだって式神ぐらい貰っている」

 銀時はやっこさんみたいに折られた白い紙を皆の前に差し出す。それに自分の血をつけて、こう言った。

「いでよ、式神ぃぃ!」

 ————シーン。
 何も出てこない。というか、シーンじゃなくてピンポーンと言うインターフォン的な音が流れた。
 翔は訝しげな表情を銀時に向ける。佐助、小十郎も揃って銀時を見つめた。
 これ、偽物なんじゃないの?

「あれ?」

 銀時は首を傾げて、もう1度押す。またインターフォンの音が鳴る。
 翔は炎神を抜き、鬼達に突き付けた。実を言うと、死神は陰陽師の家をあまり好まない。調伏されて式神にされた仲間も居るからだ。
 だが、翔の場合だとそれはない。翔の持つ死神の力はあまりにも大きすぎる為、そこら辺の陰陽師では式神として封印は出来ないのだ。その前に翔が切り殺して魂が天に昇っているだろうが。
 いきなり炎神を突き付けられて鬼達は混乱したのか、慌てて戦闘態勢を取った。次の瞬間——

 ドロンッ!

 何かが飛び出る音がして、翔は面倒くさそうに後ろを見てみた。
 銀時達の前に現れたのは黒髪のボブで、頭に角を生やした着物の女の子だった。背中には身の丈を超すような大きな棍棒が握られている。

「式神、外道丸。参上仕りやした」

 その女の子、外道丸の手には写真が握られている。おそらく、お母さんの物だろう。
 外道丸は翔の横を通り過ぎ、鬼達を見上げる。

「おい、葬式の最中に呼びだしたんじゃないのか?」

 翔が銀時に訊く。
 式神を呼びだした銀時は、「いやいや、そんなつもりじゃ——」と言っていた。顔も真っ青になっている。

「あっしは銀時様の血の契約により現れました。どうぞ、好きに使っておくんなせ」

「使えねぇよ! お前、それ可哀想だろ! 銀時、こいつをひっこめろ! 俺がやる!」

「いえ、クリステル様より話は伺っているでやんす。どうぞ、こき使ってくんなせ。……おっかさん、今すぐあっしもそっちに行くからね」

 外道丸は寂しそうな表情を浮かべて、写真に告げた。
 全員の顔が青ざめる。こんな奴を鬼達と戦わせると考えると、とても良心が痛む。
 翔は銀時にアイコンタクトで「こいつをひっこめろ。頼むから」と伝えた。
 しかし、銀時は明後日の方向を向いたままこちらを見向きもしない。ひっこめ方が分からないのだろう。

「あ、あの〜、もしよかったらこっちでお母さんの魂を奉っとくから。ね? だから、写真をこっちに渡して?」

「本当でやんすか? 申し訳ないです、おっかさんをよろしくお願いします」

 外道丸は鬼の1人に写真を手渡し、そして背中の棍棒を引き抜いた。
 そのまま棍棒を横へ振り、鬼を消滅させる。残りの鬼達も同じように消滅させた。
 砂のように浄化され、鬼達は消える。

「な、え?」

 全員は何が何だか分からなくなっていた。
 どうして鬼がすぐ消えたのだろうか? というか、何で写真を踏みつけているのだろうか?

「騙されたでやんすね。おっかさんなんて、1000年前に死んでるでやんす」

 バキッと踏みつけ、外道丸は言う。
 おいおい、いくらなんでもそれは酷いんじゃないか? と、そんな事を思っていたのもつかの間、
 いつの間にやら辺りは陰陽師に囲まれていた。

「敵だ。唱えろ!」

「いや、何を?!」

「おいそこの女! あいつらどうにかって、銀時の着物に隠れてんじゃねぇよ鬼が! 式神だろうが!」

 そうこうしているうちに、呪文を唱え終わったであろう陰陽師共が翔達に札を投げつけてきた。
 炎を纏った札は、真っ直ぐにこちらへ向かってくる。
 もう絶体絶命だと思った————刹那。

「わしの客人に何をする」

 まるで風船が割れるが如くに札は消え、翔達の前に人が立っている事に気付いた。
 翔は目を見開いた。何故なら、そいつの名前を見たからだ。
 そいつは手に持っている扇子を閉じ、自分の肩を叩く。飄々とした顔を浮かべ、言った。

「クリステルの友人は、わしの友人でもある。この——結野晴明の」