二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.150 )
日時: 2011/04/29 18:31
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第13話 雨は必ず上がる。


 結野晴明。結野アナの兄であり、江戸を守る陰陽師の1人。現在の結野家当主でもある——。
 そんなお偉い人が、今翔達の目の前で胡坐をかいて座っている。

「気のすむまでゆっくりして行くがよい。イケるなら酒も出そうか」

 晴明がパチンッと指を弾くと、翔達の前に御膳が出てきた。
 で、何故だか分からないけど翔の前にだけは酒が出されている。
 あぁ、そうか。死神だから酒は平気なのだと。まぁ、確かに平気なんだけど。いくら飲んでも酔う事はないし、脳味噌も縮まないんだけど。というか、死神に脳味噌なんてないし。
 翔は晴明を怪訝そうに睨みつける。

「どうしたのじゃ、そこの死神は」

「俺を騙そうってのか? 陰陽師の心は読めない。隙あらば俺らを調伏して配下に加えるつもりだろう」

 翔は傍に置いていた炎神を構え、晴明に突き付けた。
 晴明は「そんなつもりはない」と真剣な表情で答える。どうやら、自分では翔の力を抑え込む事は出来ないと自覚しているらしい。

「政宗殿! それは某の魚でござる!」

「細かい事は気にすんじゃねぇよ幸村! 悔しかったら奪い取ってみやがれ!」

「貴様ら、何をそんなに子供っぽい事をしてるんだ?!」

 翔は炎神を喧嘩する2人に向け、叫んだ。
 その時だ。いきなり部下の連中が「御頭!!」と叫んで入って来た。
 晴明はいきなり立ち上がり、どこかへ駆けだす。

「おいおい、あいつら一体どこへ行こうっていうんだ?」

「さぁ? とりあえずついて行ってみましょ」

「この酒。マジで美味い」

「翔! 何であんたはそんなにのん気なんだよ!」

 ほら、行くよと佐助に言われて、翔は渋々後を追いかける。
 そこで彼らが見た物とは——結野衆に混じって空に念を送る銀時の姿だった。

「……何してんだ、あいつは?」

 翔は訝しげに表情をゆがめ、佐助に訊いた。
 佐助は「さぁ?」と首を傾げて明後日の方を見上げた。見ていられなくなったのだろうか。
 すると、向こう側からも光が上がり、結野衆の光とぶつかり始めた。

「くっ。あっちも仕掛けてきたか!」

 晴明は舌打ちをして、詠唱を続けた。
 光と光がぶつかり、空を明るく染める。
 そして、片方の光が押されて、結野衆へと襲いかかって来た。

「「「「「ぎゃぁぁぁああああ!!!!」」」」」

 悲鳴を上げ、全員は地面に倒れ伏す。
 光は壁をぶち破り、向こう側に居た人間共の正体を晒した。
 結野衆の道着は白に対し、向こうの奴らは黒。巳厘野衆である。

「し、巳厘野道満……ッ!」

 晴明は苦しそうに呻き、そして立ちあがる。懐から回覧板を取り出して、道満と呼んだ男に投げつけた。

「回覧板じゃぁぁぁああ!!」

 光を帯びた回覧板が、道満へと向かって行く。
 しかし、道満は扇子1本で容易く回覧板を弾き返すと、微笑を浮かべながら回覧板を読み始めた。

「貴様ら兄弟に、俺は復讐がしたいんだ。あ、松茸狩りお前は行かないんだ。じゃぁ俺は行ってやるざまぁみろ」

「いや、このシリアスムードバリバリな時にそんなん言ってんなよ。馬鹿じゃねぇの?」

 翔が吐き捨てた台詞を華麗に無視して、道満は高々と笑いながら去って行った。
 一方、取り残された皆は悔しそうに舌打ちをした。


「こりゃぁ、始まるよ」


 シノは誰にも聞こえない位に、小さくつぶやいた。


「呪法バトルって奴が」