二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.155 )
日時: 2011/05/01 17:17
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第13話 雨は必ず上がる。


 翔の叫びが聞こえたと同時に、晴明は動いていた。
 星を描き、闇天丸を調伏しようとしていたが吹っ飛ばされてしまう。

「チィッ! お前ら下がれ、奴を焼き切る!」

「無茶な?! 相手は邪神だよ。翔が死神だからって、簡単に切れる相手じゃな——!」

 佐助が呼びとめようとしたが、翔は観客席から飛び上がっていた。ついでに言うと、シノとミウも。
 「何してんのーッ!」と佐助は叫んだ。
 シノとミウはにっこりとした笑みを浮かべると、Vサインを作った。

「いや、Vサインじゃなくて!」

「あはは。これでもアタシらは最強の戦闘民族だしぃ? やらなきゃ菜が廃るってもんよ!」

 シノはそう言うなり、闇天丸に向かって行く。
 その光景を武将2人と従士2人は黙って見ていた。とてつもなくブルーな気分……?

「ねぇ、あれをどうしろって言うんだよ……」

「某に訊くな」

 青ざめた表情で幸村は言う。闇天丸(邪神)なんかでも生身の人間はやっぱり敵わないから。
 佐助は「あはは、ですよねー」と棒読みで言った。
 闇天丸は口から闇を吐き出しながら、晴明を握りつぶしていた。
 その時である。

「まだ、この男が残っているでやんす」

 外道丸の声が聞こえた。
 リングにはフラフラとした足取りで立ち上がり、木刀を構える銀時の姿が確認できた。

「鬼とランデブー決め込んでくらぁ」

「よ、万事屋の旦那! 無茶だ、あんたはまだ完治していないだろ!」

 大事な部分が。
 しかし、それでも銀時は闇天丸の方へ走って行ってしまった。
 一体何がしたいのだろうか。彼は勝てない相手と戦って、何を得たいのだろうか。
 答えを考えるよりか先に、彼らは動いた。
 政宗は6爪を、幸村は2槍を、小十郎は刀を、佐助は手裏剣を構えて観客席から飛び出す。

「「「「だったら最後までやったらぁぁあああああ!!!」」」」

 4人一斉に、織田を討伐した時と同じような感じで闇天丸に攻撃を叩きこんだ。
 翔はフッと口元を上へ持ち上げ、闇天丸に向かって走る銀時に手をかざす。
 明るい炎が翔の掌に宿り、光となして銀時の木刀に吸い込まれた。
 同じように外道丸も葛の葉も自分の力を木刀へ注ぎこむ。
 明るい金色の光を帯びた木刀を掲げ、銀時は闇天丸へ向かって行った。

「まだ足りねぇぞ!! もっと寄こせぇぇ!!」

 闇天丸の頭上で木刀を掲げ、銀時は叫ぶ。
 政宗、幸村、小十郎、佐助も翔を見習い、同じように自分の力を銀時の木刀へ注ぎこんで行った。

「猪口才な! そんな力が我に効くとでも——うぅ?!」

 闇天丸は突然、苦しみ出した。
 どうやら、彼の中で道満が暴れ回っているようだ。暴れ回っていると言うよりか、抵抗していると言った方がよさそうだ。

「おのれ、道満んんんんんん!!!!」

 咆哮と共に、銀時は闇天丸の頭上に木刀を突き刺した。
 すると、声を取り戻したであろう道満が細々と言葉を紡ぐ。

「せ、いめい……。お前だけに、格好つけさせてなるものか。最後くらい、俺に格好をつけさせろ」

「道満……!」

 闇天丸は辺りをぐるりと見渡し、そして仲間に向かって叫んだ。

「やれぇぇぇぇえ!! 1000年の時を経て、結野衆と巳厘野衆が1つになる時が来たのだ! 一族の力、とくと見せてやろうぞ!」

 道満が叫ぶ。
 その声で、彼らは互いを見合い銀時の木刀へ力を注ぐ。
 金色の光がさらに増していく。

「晴明……俺は分かったぞ。仲直りの仕方を」

 闇天丸がほほ笑んだ。
 その表情はまさに、道満の顔。

「共に、江戸を守ってくれ」

「道満————ッ!!!」

 瞳に涙を浮かべ、晴明は力を木刀へ向けた。
 空をも貫かんとばかりに大きくなった木刀を振り上げ、銀時は闇天丸目掛けて走る。
 そして————


「「「「「あ〜した天気にな〜〜〜〜〜れぇぇぇぇえええ!!!!」」」」」


 闇天丸をぶっ飛ばした。

***** ***** *****

 2人が戦ったおかげで、屋敷が半壊した。
 なので、全部の式神を総出で屋敷を直していると言う状態だ。

「まったく。どうしたものかね」

 白と黒が互いに協力をしあいながら屋敷を直す姿を見て、翔はため息をついた。
 自分は陰陽師が嫌いだ。なのに、陰陽師達に力を貸したも同然の事をした。これは完全に人間に干渉をしている。

「どうして死神という物は、陰陽師が嫌いなんでござるか?」

 幸村が首を傾げながら、翔に訊いてきた。
 当たり前の事を訊かれたようなそんな感じがして、翔はまたため息をつく。

「調伏されるのが嫌なんだよ。誰かの配下につくってのが、俺らは嫌いなんさ」

「そんな物でござるか? しかし、翔殿は——」

 銀時殿の下についている、と言おうとした時点で、翔に炎神を突き付けられた。

「言うなよ」

 翔は短く言葉を紡ぎ、幸村を睨みつけた。


 一方——銀時は。
 何も言わず、結野衆の門を出た。

「で? お前さんは酒宴には不参加ですかー、そうですかー」

 そんな哀愁漂う銀時の背中に、翔はニヤニヤしながら言葉を浴びせた。
 銀時は面倒くさそうに舌打ちをして、翔を睨みつける。

「ただのファンだからな」

「そうですか、まぁいいや」

 でもよ、と翔が言葉を続ける。
 辺りには鬼が提灯を持って、道に沿いながら立っていた。

「え、何これ?」

「道満の仕業ー」

 翔がそう言って、後ろを指差すと——道満が、げらげらと笑いながら立っていた。

「あはは、生き返ったんだねー」

「うぉ?! シノまで居るのかよ、その肉はどうした」

 シノとミウは手に持った肉にかぶりつきながら、「気にするな」と言った。

「甘いぞ道満! 見よ、この華麗なる美技を!」

「フッ、何を言うか晴明! このスーパー華麗なる美技を!」

 そんな事を言いながら、2人は不死鳥だとか妖怪だとかを召喚する。
 政宗達も後から出てきて、神楽や新八も門を出てくる。

「綺麗な百鬼夜行だなー」

「そうアル。翔も百鬼夜行ぐらい出せヨ」

「無理だって」

 万事屋一行は、夕日が差す道を歩いて行った。