二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.158 )
日時: 2011/05/03 14:20
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第14話 鎖で縛られて喜ぶのはただのM


 翔はふと、空を見上げた。
 何かおかしな感じがしたのだ。誰かに見られているような、そんな感じが。
 空をじーっと凝視している翔を見て、幸村は首を傾げた。

「空に何か居るでござるか?」

「あ、いや……うるせぇな。少しあの鳩が美味そうだなんて考えていたんだよ」

「いくら毎日山菜だからって、鳩を食おうとするなよ」

 政宗が冗談を言うようにけらけら笑っていたが、その笑顔が翔の癪に障ったようだ。
 神の速さで炎神を抜くと、そのまま政宗の首筋にピタリと当てる。
 翔はにっこりと笑みを浮かべると、ドスのきいた声で、

「そんなに死にたいなら彼岸とお別れしなよ?」

 優しい優しい口調で「殺してやる」と言いました。
 政宗は「sorry」と謝り、翔から離れる。背中に般若が見えたのは気のせいにしておこう。
 殺しそびれた翔は、チッと舌打ちをして炎神をしまう。そしてまた、空を見上げた。
 本当に、誰かに見られている気がするのだが——。

「気のせい、か」

 そうつぶやいた瞬間、その場に居る翔と新八、神楽、幸村、政宗除く全ての人が一斉に倒れた。
 翔は辺りを見回す。
 まるで死んだように倒れた人々。死神の仕業かと思ったが、死神の気配はしない。人々を調べるとすぅすぅと寝息を立てて寝ていた。

「どういう事なんだ?! 人々が寝てるんだけど、一斉に寝るって……!」

 新八がパニックを起こしたように叫んでいる。
 翔は1度、新八を殴って黙らせ考えた。
 一体どうして人々が眠るのか? というか、一斉ってどんな? おいおい、皆して不眠症ですかなんて事を考えていたら、声がかかった。
 空から降って来た気の抜けた声。そしてその空と同じような髪の色、まさしくスカイだった。

「スカイ、どうしたんだ?」

「えーとね。まぁ、お話があるんで、万事屋に帰りません?」

 えへっとスカイは笑って、帰り道を指した。

***** ***** *****

 万事屋は眠りの被害に遭わなかった奴らがやって来ていた。
 昴は首を傾げて、翔に訊く。

「見周りから帰ったら局長も副長も隊長も寝てるんだもん。びっくりして起こそうと思ったけど起きないんだ。副長に至っては春夜と俺で蹴ったり斬ったりして希実ちゃんに回復させたけど」

 起きないんだ、と笑顔で言う昴。春夜も希実もしゅん、とした表情でソファに座っていた。
 幸い、生き残っていた銀時は鼻をほじりながら、適当に言葉を返す。

「どうせ後で起きるだろ。ほっとけ」

「あら、それはどうかしら」

 凜が嘲笑を浮かべて、壁にもたれて立っていた。

「江戸の人々が寝ちゃったのは、精神を縛りつけられたからよ」

「縛りつけるとは、一体どういう事なんだ?」

 家康が清々しいほどにキラキラした瞳を凜に向けた。
 凜は呆れたようにため息をつき、説明し始める。

「人々の精神はシャボン玉のような感じなの。それを絡め取って世界に縛りつける事で人々は眠ってしまうわ。その鎖を解き放てばいいんだけど、解き放てないならこのまま永遠に」

 にっこりと笑う凜は、どこか怖い感じがした。
 その説明を聞いた武将達は訳が分からないのか、はたまた想像がつかないのか首を傾げていた。

「まぁつまりだな、体から精神が切り離されればそのまま眠っていると。寝たまま死んだという感じだ」

 空華は燐の説明よりか分かりやすく、要約して説明すると武将達も分かったようだ。

「じゃぁその鎖とやらを解き放てば、人々は目覚めるって訳だな!」

 慶次はポンと手を打ったが、翔の「無理だな」という嘲笑で一蹴されえしまう。
 「どうしてだよー」と慶次は反論すると、翔は

「甘い考えはよせ。精神世界にどうやって行けと言うんだ? まずはそこからだろうが」

「えー、それがあったのー? 普通に行けるんじゃない?」

 普通に行けると思っていたらしい燐菜はぶーたれた。
 そこへ、「待って」とストップがかかる。ストップをかけたのは、もちろん凜だ。

「凜殿、何があったでござるか? せいしんせかいという所に行けなければ話は始まらないんでござるよ」

「違うわ熱血野郎め。話はそこじゃないの。翔、あなた忘れていない?」

 凜は無表情で涼しげな表情をしたまま、翔に言う。

「あなたはこの世界、この世の中で唯一、精神世界に行く事を許されているはずよ?」