二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.159 )
日時: 2011/05/03 14:54
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第14話 鎖で縛られて喜ぶのはただのM


「俺が、精神世界へ行ける——?」

 翔は首を傾げた。
 言葉の意味が分からない。何故自分だけが精神世界に行けるのだ?
 精神世界に行く事は至難の業とされている。資格を持つ者だけが入れる闇の世界なのだ。
 では、どうして翔は行けると言うのだろうか?

「翔。あなたは忘れているようだから教えてあげるけど。あなたは精神世界の姫、鎖姫に魅入られた死神なの」

「くさり、ひめ?」

 精神世界に君臨する姫君、鎖姫。それぐらいなら翔も知っていた。
 人の精神を操り、縛りつける事が出来る奴だと。

「そ、それが翔と何の関係があるんだよ?」

 昴が凜に言った。
 魅入られた、の意味も分からないの? と思った凜はため息をつく。

「そこの少女容姿死神は鎖姫が狂ったように愛されている人なの。要は鎖姫の好きな人ね」

「ハァ?! おい、翔。聞いてねぇぞ!」

 慶次は翔の肩を掴んで、思い切り前後へ振る。
 いきなり脳をシェイクされた翔は、慶次の顔面へ飛び蹴りを叩きいれた。

「身に覚えがないな、鎖姫? 何故俺がそんな奴に愛されなきゃいけないんだ」

「そりゃ、あなたが世界を崩壊させる力を持つからでしょ?」

 凜は平然と言ってのけた。
 皆の視線が、翔へと集中する。

「あなたのその炎神。あなたは平然として振るっているけど、それはあなた以外の人が素手で触れると呪いに犯されて死んでしまう代物なの。精神を操り人を眠らせる鎖姫、物理的に世界を崩壊させる事の出来る炎の死神、まさしく2人がタッグなんか組んだら私達まで死んじゃうわよ」

「いや、死ぬだろ。翔は死神なんだし」

 佐助は苦笑をしながら凜に言った。

「でもぉ、何で鎖姫が出てくるの? そんな力を持っているなら、封印されてもおかしくない?」

 燐菜が挙手で訊いた。
 空華は「あー、それねー」と軽い言葉を返す。何か知っているのだろうか。

「多分、俺様とスカイがいけないんじゃないかなー」

 全員の空気が固まった。
 空華とスカイがいけない? 空華は分かるけど、スカイはどこがいけないのだろうか。
 すると、スカイもハッとしたような表情を浮かべてポン、と手を叩いた。

「だって、あれは人間がいけないんだよ! 俺を封印して、一体何になるのさ。俺は何もしてないじゃんー!」

「翔が精神世界へ行ける唯一の『人』ならば、スカイは精神世界へ導く『鍵』だな」

 空華は真面目な表情を、スカイに向ける。
 スカイは何も言えなくなり、ただ黙ってうつむいていた。

「んで、俺様は鎖姫の『刀』ってトコ? 実は未来からリンクされてね、依頼でこの世界に来たんだけどさ」

「じゃぁ翔とスカイと空華は敵って事アルか?」

 神楽が番傘を翔に叩き付けんとばかりに振り上げながら空華に訊いた。
 空華は笑いながら「翔とスカイは違うんじゃないかなー」と言った。

「俺様は分からないけど、翔とスカイは精神世界へ行けるんだから良ければ止められるし悪ければそのまま俺様らもお陀仏。嫌なら君らもついて行ったらいいじゃない」

「ついて行く? そんな簡単な事が出来るのか?」

 三成が怪訝そうに空華へ質問する。
 「出来るよー」と笑顔で言った空華は、スカイに視線を送る。
 チッと舌打ちをしたスカイは、手を捻った。
 ガチャリと鍵が開くような音がして、空気中に亀裂が入る。そこから空気が開いていき、世界が見えた。
 雷が今にもなりそうな灰色の空。その中心にそびえ立つ、ボロボロの塔。

「さぁ行きましょうか? 鎖姫との対決に」