二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.160 )
日時: 2011/05/03 17:58
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第14話 鎖に縛られて喜ぶのはただのM


 ボロボロの塔がそびえ立つ世界にやって来た万事屋一行は、とりあえず塔を見上げていた。
 雲があって党の先が見えない。よほど高いのだろう。
 入口は檻のような形で閉ざされていて、入れるにも入れない。
 空華はふむ、と唸ってから三成を呼んで檻を一瞬で切ってもらう。

「三成君の刀はキレ味いいねー」

「ふん。貴様も忍びならば、刀の1つは持っていたらどうだ?」

 三成は自分の刀を収め、空華を睨みつけた。
 相も変わらず空華は笑みを浮かべていて、スタスタと塔の奥へと入って行った。

「早く来ないと死んじゃうよ、って言っといて」

「何を言っているんだ貴様」

 三成は怪訝そうな表情を空華に向け、反論した瞬間——何か変な物を見た。
 正しく言うと、何か腐ったような人がそこら辺にフラフラと立っていた。目ン玉なんかポロリと飛び出していて、すんごいグロイ。まるでバ○オ。
 銀時、新八が絶叫を上げ、三成を通り越して塔の中駆けこんで行った。

「あははは。そいつらは精神を縛りあげられたからこっちで操られてるんだね。本体は現実の世界にあるけど、精神がゾンビになっちゃってる☆」

「笑ってねぇで何か対策とかはあンのかよ!!」

 政宗は「刀で切れば問題ねぇな?!」と付け加えて抜刀しようとした。
 しかし、その行為は翔によって止められる。

「精神を殺すと向こうの奴らも目覚めない。だから、こうすれば文句は言えねぇな!!」

 ひゃっはー、と言うように翔はゾンビを殴り飛ばした。
 後ろで空華がムンクのような表情になったのはこの際気のせいにしておこう。
 「なるほどな」とうなずいた政宗は、次々に現れるゾンビを殴り飛ばしていく。それに便乗して幸村も佐助も孫市も皆してゾンビを殴り始めた。
 凜に至っては「これは私の得意な戦術ね」なんて笑顔で言ってボコスカとゾンビを殴り飛ばしていた。

「お前らーっ! 何で人の精神を攻撃しちゃうかなー?!」

「別にいいだろー、減りはしないんだしよー」

 殴り飛ばしながら翔は言う。右手にゾンビ、左手に炎神を持って。
 空華は大きなため息をついて三成に「俺様は先に行くからあいつら殺しておいて」と言い残して塔に吸い込まれて行った。
 三成はいつの間にか隣に居た吉継を見上げ、そして訊く。

「私は家康だけを殺せればそれで良いんだが。どう思う、刑部?」

「やれ、安心せい。奴らはそれだけでは倒れぬだろう、特に翔は」

 吉継はけらけらと笑いながら言っていたが、三成は苦々しそうに顔をゆがめた。

***** ***** *****

 コツン、コツン、と闇に響く足音。
 闇を裂くようにして歩く空華は、右手に苦無を構えた。静かに闇に吸い込まれた道を睨みつける。
 やがて彼は開けた所に出た。
 視界にあるのは檻。その向こうに銀髪の少女が古びた玉座に座ってほほ笑んでいた。

「よぉ、鎖姫。あんたの契約を破棄しに来た」

 空華はいつもとは違う口調にして、鎖姫と呼んだ少女に笑いかける。ただし、それは目が笑っていなかった。
 一方、鎖姫はクスクスとその顔に笑みを浮かべると空華に言う。

「あなたが私に敵うのかしら、王良空華?」

 じゃらりと、じゃらりと指先から鎖を垂らしながら、鎖姫は嗤う。
 空華は肩をすくめると、瞬時にして瞳を真剣な色に染めた。それはまさしく、彼にふさわしい表情だ。

「我流忍術『王良家』当主、王良空華。参る!」

「あはは。楽しい楽しい舞台にしましょうね、王良空華君」

 檻をぶち破り、2人は衝突した。