二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.163 )
日時: 2011/05/05 20:34
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第14話 鎖で縛られて喜ぶのはただのM


 鎖姫は床に転がっている空華を蹴りつける。ドスッという鈍い音がして、ころりと転がった。
 後から来た皆が、倒れている空華を見るなり叫びだした。

「あ、あ?」

 翔の体から気が抜けて行くのが分かる。
 手に力が入らない。落ちた炎神が拾えない。
 鎖姫は楽しそうに笑い、翔に艶のある声で問いかけた。

「この子が心配?」

 その途端、金影が鎖姫の視界を横切った。
 漏れる光に照らされて輝く金髪。フープを構えたミウの姿だった。いつもの様子からは考えられない、金叉族本来の俊敏な動きで鎖姫に襲いかかる。
 しかし、鎖姫は笑っていた。まるで馬鹿な奴を見るように。

「ダメだ止めろ!」

 怜悟が叫ぶのが聞こえたが、ミウの攻撃は止まらなかった。
 腕に反動をつけ、刃がついたフープを鎖姫の真上に落とす。
 血は出なかった。代わりに、カツンという金属が触れ合う音が聞こえた。

「危ないなぁ。これでも私、子供なのに」

 手から伸びた鎖を操り、鎖姫はミウの首を締め上げる。
 ミウは苦しそうにうめき声を上げ、足をばたつかせた。宙に浮いている為か、その行為は徒労に終わる。

「ミウを放せェ!!」

 シノは怒号と共に地を蹴り、ミウの首に絡まる鎖をフープで叩き切った。正確には鎖姫自身の手を殴り、鎖を緩めてミウを助けたのだが。
 苦しそうに咳き込むミウを守るように、シノは前に立つ。
 鎖姫は殴られた手をじー、と眺め、やがて口をゆがめて笑った。

「痛ぁい。ねぇ、何で殴るの? 私は翔が居れば別にどうだっていいのに」

「それとこれとは話が違うわ。何で空華を殺したの?」

 凜が冷たい言葉を投げる。
 その言葉に答えるように、鎖姫はまた笑う。

「殺してなんか無いわ。ただ、この人の意識を私の中に閉じ込めただけ。大丈夫よ、体は壊してないんだし」

「Ha!! 何が殺してないだ。心が死んじまえば体も死んだも同然って事だろ?」

 政宗が6爪を構える。口は笑っていたが、目は本気だ。
 鎖姫は今にも倒れそうな翔を一瞥する。そして悲しそうな表情を浮かべた。

「こんな翔、要らなぁい。もう皆、死んじゃえー」

 感情のない言葉を紡ぎだし、腕や足から鎖を生やす。
 蜘蛛が糸を吐き出すかのように鎖姫から飛び出した鎖は、皆の体を縛りつけた。

「そのまま暗い意識の海へ堕ちて行きなさい」

 冷たい言葉を耳にした瞬間——全員の意識は途切れた。
 薄れ行く意識の中、翔は思う。

(空華、どうして——)


(意識に閉じ込められているんだ?)


※次の話へ続く!