二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.164 )
日時: 2011/05/06 14:48
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第15話 夢の中が自分で彩れたら最高じゃね?


 目を開ければ、そこに広がっていたのは闇だった。

「……ん?!」

 翔は急いで飛び起きる。そして自分の目を確認するように、ゴシゴシと力強くこすってみる。
 どこまでも深く、そして暗い闇。なのに自分の姿だけはきちんと確認出来る闇。何かおかしい。
 辺りを見回してみれば、きちんと皆は居るのに。

「何で、闇なんかに——」

 すると、翔の声に答えるかのように楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
 その方向を見てみれば、そこに居たのは自分が知る者の姿。黒いボサボサの短髪に翡翠色の隻眼。空華だった。

「く、うか——。お前、死んだんじゃ?!」

「勝手に殺さないでくれる?!」

 翔の答えに口を尖らせた空華は、座りこんでいた翔に手を貸して起こす。
 空華の手を借りて起きた翔は、もう1度辺りを見回してみる。
 どこからどう見ても闇ばかりである。完全に閉じ込められた、閉鎖された空間のような。

「ここは、どこだ」

「まぁ、簡単に答えると鎖姫の中さ」

 空華は未だ目を覚まさない全員を丁寧に蹴り起こしていく。蹴られて起こされた皆は不機嫌そうにその身を起こした。
 特にシノは強敵だった。空華が蹴って起こそうとすると、シノは反射的にフープをこちらに投げつけてきたからだ。
 流石の空華もここは技を使わずには起こせないので、シノだけは『散り桜』で起こした。

「痛いでさァ。もう少し丁寧に起こしてくれやせん?」

 春夜は蹴られた頭をさすり、空華に訴えた。
 「起こしてやったんだから文句なし」と空華は一蹴する。そして、さっきの話に戻した。

「翔にも言った通りに、ここは鎖姫の中ね。OK? あと、雫。俺様が死んでいるとお考えになられるなら今すぐその考えを訂正して般若心経を唱えるのを止めなさい」

「え?! 死んでないの、生きてるの?!」

 雫は慌てた様子で空華に言う。
 本格的に死んだ扱いをされている空華は、もう泣きたくなってきたがその衝動を我慢して飲み込む。

「鎖姫の中って……僕達、食べられちゃったんですか?」

 新八がグロイ事を言う。すぐ後に神楽が殴って「変な事を言うなヨ!」とどなっていた。
 空華は首を振って「違う違う」と否定する。

「精神を心の中に連れてこられちゃったみたいだな。記憶を覗ける空華さんでも流石にここからは抜け出せない」

「自分を『さん』づけするなんて、変です」

 鶴姫が影でボソリと言ったが、空華はあえて無視した。もう何も反応をしない。真面目な奴じゃないと反応してあげない。

「……つまり、ここから出られない?」

 怜悟がいつもの無表情に少しだけ不安と心配の色を浮かべて訊いた。
 この質問にも空華は否定の意を見せる。

「出られない事もないけど。ここから出るには何か鍵がないと難しいかも」

「俺じゃダメなの?」

 スカイが首を傾げた。
 ここの塔までスカイの力で来れたのだ。だったら鎖姫の中から抜け出すのもスカイなら出来るだろう。
 しかし、空華は首を横に振った。出来ないと言っている。

「記憶の鍵を探さないと」

「じゃぁ、あれは?」

 燐菜が闇の向こうに指を滑らせる。
 その奥にあったのは、闇に浮かぶ銀髪の少女と黒髪の少年だった。