二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.167 )
日時: 2011/05/06 17:58
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第16話 空を見上げて歩こうか


 ゴポリ、と口から血塊を吐き出して、鎖姫もとい夢亜は地に崩れ落ちる。彼女の血で銀髪は赤く染まっていた。
 夢亜の後ろで、1人の男が自分の腕についた血を舐めて立っていた。
 歳は20歳前半を予想できる。空色の髪に漆黒の瞳、どこかスカイを思わせるような——。

「やぁ、スカイじゃないか」

 男は呆然と立ち尽くしていたスカイに手を振った。
 声で我に返ったスカイは、男を睨みつける。そしてどなった。

「相も変わらず幕府の道具かよ、親父!!」

「ヤダなぁ。そんな事はしてないじゃん。スカイ、いつからそんなに生意気になってしまったんだい?」

 男は肩をすくめて、ため息をついた。

「黙れ! じゃぁこう呼べばいいのか? 英雄、スカル・エルクラシス!」

 スカイは男の名を叫んだ。
 スカルと呼ばれた男は、にっこりと笑みを浮かべるとトンッと軽く地を蹴った。
 次の瞬間、スカルはいつの間にかスカイの前に現れていて、スカイの首を締め上げていた。

「お父さんを呼び捨てにするなんて酷いな。少々、おいたが過ぎたね」

 苦しそうに呻く息子を見上げ、スカルは笑う。
 スカイは苦し紛れにスカルの顎を蹴り上げ、何とか首を締め上げる事から脱出した。
 地に叩きつけられ、苦しそうに咳き込む。

「あはは。痛いんだけど、すんごい痛いんだけど!」

 蹴られた顎を押さえながら、スカルはスカイに抗議する。
 しかし、スカイはそんな言葉なんて聞かず、今にも死にそうな夢亜を皆の前まで引きずって来た。
 ぼたぼたと落ちる血を押さえ、スカイは希実に「こいつの治療を頼む」と頼んだ。
 硬直していた希実は、慌てて夢亜の治療に取り掛かった。

「スカイ、お前……」

「皆が逃げるまで、時間を稼ぐから。親父に敵うっていう自信はないけど、親を止めるのは息子の役目だし」

 心配そうな表情を浮かべた怜悟に、スカイは笑いかける。
 治療が完了したのか、希実は昴のズボンの裾を引っ張った。それが合図となる。

「逃げろ!!」

 スカイの声と同時に、全員は逃げ出した。
 スカルには敵わない。誰もがそう思う、もちろん武将にも。
 情けないと思うだろうが、これが最善の策なのだろう。

「ぎ、銀さん!」

「どうした新八! 眼鏡でも忘れてきたか?!」

 前を走る銀時は、後ろを振り向かず新八の質問に答えた。
 そう。彼らは大切なものを忘れていた。


「翔さん、居ません」