二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.170 )
日時: 2011/05/07 15:46
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第16話 空を見上げて歩こうか


 怜悟の背中から手を伸ばし、その細い指を翔へと向ける。先端から鎖が飛び出て来て、炎神へと吸い込まれた。
 鎖を吸い込んだ炎神は銀色の鎌へと変化する。
 え、最早この鎌は炎神じゃなくね?

「わた、しの力は……死神の心、の力——。だから、使える、かも」

 力なく笑い、夢亜は言う。
 翔は炎神へと目を落とし、そしてギュッと握った。

「やってやるよ。『友達』の為にもな」

「あははは。『友達』か、そんな甘い関係で何が得られるの? 戦場で何が出来るの?」

 スカルはげらげらと大笑いしながら、政宗の技『HELL DRAGON』を翔に向けて撃った。
 刹那————バシュッと音がして、技が消された。
 そう。まるでそこに修正液をこぼすかのように、光線が一瞬にしてなくなったのだ。

「えー、何が起きたのー?」

 スカルは首を傾げて、訳の分からなさそうな顔を浮かべる。だが、すぐに原因が分かった。

「スカイ。君の仕業だね? まさか、そこの隻眼青年の技をコピーしたのかい?」

「ハッ。お前に出来て俺に出来ないのはちっと癪なんでな」

 同じように『HELL DRAGON』を撃ったスカイは、顔に汗を浮かべていたがそれでも笑っていた。
 スカルはむぅ、と口を尖らせていた。が、すぐに顔の色を変える。
 何故か? それは、翔がもうすでに目の前に居たからだ。

「なっ————?!!」

 咄嗟に防御しようと手をクロスさせて目を瞑ったが、攻撃は来ない。
 スカルは恐る恐る目を開くと、視界に入って来たのは鎖だった。
 自分の周りに鎖が漂っている。まるでそれは檻のようだ。

「な、んだよこれ——」

「どうだ? 夢亜特製の、檻の味は」

 鎖の向こうで黒い笑みを浮かべていたのは、翔だった。
 スカルは舌打ちをして手刀で鎖を切ろうとしたが、切れなかった。バチッと電流が流れて触れないのだ。
 翔はにっこりとした笑みに変え、炎神を掲げる。

「『炎を操り、焦土と化さん』」

 それは、人間が聞きとれないレベルの言語だった。
 言葉に反応して、スカルが立っている地面が赤くなる。

「『終わりと始まりを彩る炎よ。今此処で、標的を灰と化せ』」

 その時、ゴォッと炎が上がり、スカルを飲み込んだ。
 視界を奪われ、息が出来ないほどに苦しくなる。スカルは何とか逃れようと、鎖との間に手を伸ばした。
 しかし、手が鎖に縛られる。スカイが逃がさない為に、鎖姫の技をコピーしたのだ。

「あははは、負けちゃうのかー」

 スカルはけらけらと笑った。最後まで笑っていた。

「『鎖中(さちゅう)の獄炎乱舞』!!!」

 鎖をも炎に飲み込まれ、スカルは消えて行った。
 その場に残ったのは、声だけ。

『お父さんは幕府へ帰るよ。ここで死にたくないしねー、次に逢う時は現実世界で』

 軽そうな声は、やがて消えた。
 と、同時に地震が皆を襲う。

「え?! 何、東北地方太平洋沖地震?!」

「違うわ。あの男を倒したから、塔が崩れるのよ!!」

 凜が慌てた様子で言う。
 えーっと皆が叫んだ。だっていきなり崩れるとか言われてもねー。

「おおおおおいスカイ!! 早く鍵ッ!」

「て、手が動かねぇよぉ!!」

「何?! 役たたず貴様!」

「崩れるぅぅぅぅぅううううううう!!!!」

 悲鳴と共に、皆は塔の中に埋もれて行った。