二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア—銀魂×戦国BASARA3— ( No.19 )
日時: 2011/03/08 18:09
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第2話 薬とかヤバいものあるけど、皆注意してね。街で海が見えるから。


 銀時が目を覚ましたところは、桂の隠れ家だった。
 家の布団と明らかに違う布団で寝かされているので、何かおかしいと思ったのだが。

「ヅラ、何で俺はこんなところで寝かされているんだ?」

「それより銀時。お前はこのような物を知っているか?」

 桂は着物の袖から、白い粉を取り出す。
 怜悟が持っていた麻薬である。桂が言うには、この麻薬は転生郷という快楽を得られる麻薬らしいが、同時に強い依存性も得る天人達が使用している薬らしい。
 桂達はこの麻薬を根絶やしにする為に情報を集めていたところ、空から落ちてきた銀時達を救ったらしい。
 銀時は記憶を巡らせ、あの光景が脳裏に蘇った。

「新八、神楽……ッ……」

「無駄だ。左手が使えぬ上に、肋骨が2本も逝っている。その体で、どう助けると言うのだ」

 桂の言葉を無視して、銀時は自分の着物に手を伸ばした。
 助けなければ。仲間を、助けなければ——。

「無駄だって言ってだろうが」

 空を向く銀時の視界に現れたのは、黒い炎の死神、翔である。
 あの場に居ながらも、仲間を救えなかった自分と同じような死神。

「また死にたいのか? 生死の境を彷徨っていたいんなら地獄へ行け」

「行けねぇよ。お前も見ただろ? 佐助と孫市も連れて行かれたんだ」

 武将の中でも結構強いあの2人が、あんなのになる程だ。きっと強い薬だろう。
 翔は諦めたようにため息をつき、手を差し出した。

「流石銀時。俺の主だ」

「当たり前だ」

「俺も行こう。春雨は目に余っていたんだ」

***** ***** *****

 春雨が商いをする港——不審な影が、1……2、3……あーもう。多数って事で。
 そのうち2人は海賊の様な格好をしていた。もちろん、銀時と桂である。
 でかい船を見て、翔は——吐いた。

「うぉえ」

「ちょ、おぃぃ!! 何してんの、何してんの?!」

「ごめ、船弱い……」

 連絡をしてついてきてもらった怜悟に、背中をさすってもらう翔。実は船にトラウマがあるのだ。
 そんな事を知らない他の皆は、スタスタとどこかに行ってしまった。
 涙目になって咳き込みながらも、翔は怜悟と共に後ろからついて行った。 ら、迷った。

「「あれ、ここどこ?」」


 一方、新八達の方は——。

「うわっ!!」

 新八は水を掛けられて、目を覚ました。
 隣にはまだ気絶している佐助と孫市。そして遥か向こうには、海に落とされようとしている神楽の姿が。

「なっ、神楽ちゃんを放せ!!」

「こいつを海に落とされたくなければ、桂の居場所を吐きやがれ」

 陀絡は剣の先にひっかけられた神楽をゆすりながら言う。
 何が何だか分からない新八は、ただぼーとしていた。だが、天人の1人に髪の毛を引っ張られる。

「僕らは攘夷志士じゃないし、桂さんの居場所も分からない!! 神楽ちゃんを放せ!!」

 その言葉で起きたのか、神楽は陀絡に飛び蹴りをかます。
 反動で海へと身を投げ出した神楽は、新八に笑顔を見せた。

「足手まといになるのは御免ヨ。バイバイ」

 刹那——横から銀閃が飛び出す。
 それは日の光に輝いた、銀時の銀髪である。
 銀時は神楽の体をキャッチして、そして甲板へと飛び乗った。

「痛てて……。傷が開いちまったよ」

 苦しそうに傷をさすり、銀時はぼりぼりと頭を掻く。

「どぉも。坂田銀時です」

 直後に爆発。もちろんこれは、桂が爆弾で転生郷のある倉庫を爆破させたのだが。
 天人達が一斉にそっちに行っている間に、銀時は佐助と孫市に繋がれた縄を解き、叩き起こす。

「あ、え? 俺様、一体——」

「おい、ここはどこだ。一体何をしているんだお前は」

 自分達が捕まっていたという事を何も知らない佐助達。
 後から武将達も続々登場してきた。幸村に至っては、薬を嗅がされた佐助に飛びついていた。

「あれ、翔は?」

「いねぇぞ」

 居るはずの翔と怜悟。だが、そのスペースが空白だった。
 その時、船全体が炎で包まれたのだ。
 まさかと思い、銀時は甲板から身を乗り出して外をうかがうと、翔が炎神を担いでいるのが見えた。

「ふぁいやいんざほー!!」

 炎を一刀両断して、甲板に飛び乗る怜悟。
 愛刀「斬鉄」を鞘から抜き、天人を斬る斬る斬る!! あ、斬った途端海に投げ出されて沈んで行った。

「貴様は、破壊神——月読怜悟!!」

「うん。でも、あんた斬らない」

 怜悟は他の天人をなぎ倒しながら、陀絡に向かって言った。
 嫌な予感がして、背後を向く。
 そこに居たのは——刀を構えた銀時の姿。

「お、まえ——」

「うおらぁぁぁぁぁああああ!!!」

 ガキンッと音がして、交差する2人。
 ゆっくりと倒れたのは、陀絡の方だった。

***** ***** *****

「はぁあ、転生郷爆破。成功だね」

 昴は新聞を読みながら、感心したように言う。ちなみに場所は万事屋。
 一方の翔は、爪を切りながら「そーだねー」と返した。
 奥の方がうるさいのは、一応頑張った佐助と孫市にゴリゴリ君を買ったからだろう。見せた途端、まるで神のように崇め始めたのだ(孫市の方が)
 戦国時代ではアイスがないので、余程嬉しかったのだろう。

「ま、結果オーライって奴じゃないの?」

 投げやりに答えた翔は、何故か楽しそうだった。