二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.71 )
- 日時: 2011/03/30 10:35
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第6,5話 恋っていいよね。
翔にげんこつを1発、しかもでかい奴を叩きこまれた昴。ものすごい痛いのか、机に突っ伏して起きようとしなかった。
「で? てめぇは一体、どうしてそんなにボーとしてるんだ。悩み事があるなら聞くが?」
「え、別に大丈夫だよ。俺は何ともないよ?」
「もう1発いくか? 何で何ともないのに俺と目を合わせようとしない?」
「ハイ、全て話します。だから殴らないでください」
土下座をした昴は、理由を話し始めた。
***** ***** *****
「やっべー。早く帰らねぇと副長に殺されるなー」
昴はその日、仕事をしていたら遅くなってしまったのだと言う。桂の部下を尋問していたら、いつの間にか夜になっていたのだ。
ちなみに、同行していた春夜は先に帰った。尋問(というか拷問)を見ていられなくなったらしい。
「くそ、ここの建物を通って行くか!」
昴は建物——病院を通って行く事にした。
「おい? 何してんだよ、馬鹿」
「え、きちんと話してるじゃないか。大丈夫だって、看護師さんはちゃんと気絶させたし」
「何してくれてんのてめぇは!! やっぱ馬鹿だろ!」
回想に戻ります。
昴は病院の中を走っていたら、遠くの病室の明かりが点いているのに気付いた。ついでに言うと人影も。
「何だ?」
不思議に思った昴は、通路の窓を開けてその病室まで飛んで行ったのだ。
光があふれる窓に耳を立て、部屋の様子をうかがうと中からどなり声がした。後、誰かが殴られる音。
「お前が不治の病にかかるから! 金がかかって仕方がねぇんだよ!」
「……ッ……」
(ドメスティック何ちゃらって奴か。なら、俺が首を突っ込む事じゃないな)
昴は頭を掻き、その場から立ち上がった瞬間。
中から悲鳴がしたのだ。同時に、盛大に殴られる音も。
「……あー、もう。何で俺はこんなに馬鹿なんだろー」
そうつぶやくと、昴は回し蹴りを窓に叩きこんだ。
バシャンッという破壊音と共に現れたのは、白い少女と少女を今まさに殴ろうとしているおじさんだった。
おじさんは、昴を見た途端みるみるうちに顔を強張らせていく。
「真選組です! DVなんか見てられないので、助太刀しに来ました!」
ピシッと敬礼すると、昴はにっこりと笑顔を浮かべる。
おじさんは、逃げるように病室から出て行った。情けない悲鳴を上げながら。
「弱いなァ……。君、大丈夫?」
「あ、ハイ。大丈夫です」
ベッドに座っていた白い少女は、にっこりと笑った。
本当に真っ白な少女だった。肌から髪まで白。ただ色を残しているのは、赤い唇と漆黒の瞳だけ。
どこか儚げな少女は、こう名乗った。
「私は雪月。色落ち病にかかった病人です」
少女——雪月は笑顔を崩さず、そう言った。
「で、それ以来お前はその——雪月って子の見舞いに行ってる訳だ。気持ち悪いな」
「正直に言わないで、俺マジ泣くから」
翔の正直な言葉に、半泣きする昴。
そんな昴相手に、翔は他人事のような態度を見せる。面倒くさそうに耳をほじったり、欠伸をしたり。おじさんかお前は。
「俺は病気を治す神じゃねぇんだよ。俺は死神、死を運ぶ神なの。病気を治すどころか、悪化させるよ?」
「分かってるよ。分かってるんだよ、そんなの。翔も治せないし、俺も治せないし。でも俺は、あの子の傍に居たいんだ。元気づけてあげたいんだよ」
いつもの昴と違い、しんみりとした口調で話す。
「……春夜、行くぞ」
「どこへでさァ。その、雪月ちゃんって奴のとこですかィ?」
いきなり立ち上がった昴の背中に、春夜は質問を投げた。
昴は無理矢理な笑顔を浮かべ、答える。
「そうかもね」