二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.73 )
日時: 2011/03/31 21:37
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第6,5話 恋っていいよね。


 夕暮れ時、病院の屋上に居るのは2つの人影。
 赤い空を背にして、昴は翔の方を向いた。

「で、話って何よ?」

「色落ち病。雪月の話だ」

 そう言葉を切りだした瞬間、昴はビクッと怯えたように震えた。
 翔は苦しそうな表情を浮かべたが、一瞬にして消し去り無表情で話し出す。

「色落ち病は、色が消えて行く病気だ。文字通りだな。最終的にどうなるか分かるか?」

「え、ちょっと。俺、馬鹿だから分からないよ。考えらんない、何でそんな事——」

 耳を塞ごうとする昴の腕を、翔はガシッと押さえこむ。
 鋭い眼光で睨まれて強張った顔をする昴。震えているのが手を通して分かった。

「最期は、」

「言わないで!!」

 昴は手を振りほどき、翔から離れた。瞳の奥が震えていて、何を見ているのかが分からない。

「俺は死神だから、お前がどういう気持ちかは分からねぇが。現実を受け入れろ」

「嫌だ、嫌だ! 死神だからって、どうしてそんな事を平気で口に出来るんだよ。お前も、生きてるなら……」

 そこで翔の回し蹴りが、昴に炸裂する。
 運悪く回し蹴りが鳩尾にヒットした昴は、屋上の端まで吹っ飛んでしまった。
 むせる昴の胸倉を掴み、翔は冷たい言葉で言い放つ。

「最期は空に消えるんだ。色がなくなり、姿すらも消える」

 真実を聞いた昴は、大きく目を開いた。
 翔は昴の胸倉から手を放し、炎神を抜く。

「俺はそんな事になる前に、雪月の魂を狩る。別れを言って来い」

「嫌だ!」

 昴はどなり、翔に飛び蹴りをかました。
 ギリギリの所で炎神で攻撃を防ぎ、翔は昴の顔を見る。

 泣いていた。

 夕日に照らされ、透明に輝く涙。まだ現実が受け入れられないのだろう。

「勝手にしろ。お前が誰と居ようが俺は止めない。ただし、雪月の魂は絶対に狩る」

「させない。俺が、全力で阻止してやる!!」

 昴はもう1度どなり、屋上から飛び出した。
 バタンッと音がすると共に、風魔が姿を現した。いつも通りの無表情で。

「翔、大丈夫か」

「何がだ。俺は死神だ、人に干渉してどうする」

 炎神を収め、フェンスに足を掛ける。
 高く、そして広い空が自分を見下ろしていた。

「チッ……。どうして俺は、損ばかりするんだろうか」


「きっと、死神に生まれてきたせいだ」