二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.81 )
日時: 2011/04/03 16:58
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第7話 記憶喪失に負けず、叩けば直る。


 とりあえず、半壊した万事屋から寝床を確保する為に、翔達は新八の家に向かった。
 広いからこのぐらいの人数、匿ってくれるだろうと思ったのだろう。
 しかし、今はそれどころの問題ではない。

「あら。銀さんが記憶喪失?」

 妙はあまり慌てた様子を見せず、口に手を当ててわざとらしく驚いていた。
 銀時の記憶喪失よりも、自分の鎌を直す事に余念がない翔は黙っていた。今現在、彼が行っている事は死神仲間との連絡である。

「だーかーらー、炎神壊れちゃったの。何か代わりの奴、鎌であれば何でもいいから」

『そんな事を言ったって、何もないよ! あんたは昔から炎神を使っていたじゃないか。代わりなんかあるかい』

「ハァ?! だから言ってんじゃんか。弱くても何でもいいから鎌を出せって! 代わりに炎神直せ!」

『理不尽だなお前。分かったよ、そっちに僕の鎌を転送するからあんたの炎神を転送して。それぐらいの力なら、鎌がなくても出来るでしょ』

「ま、俺の場合はな。お前はそうは行くのか?」

『問題ない。他の奴から鎌をくすねてきた』

 後ろから「銀さんの記憶を殴って消してください」と聞こえてきたが、この際気のせいにしておこう。
 翔は壊れた炎神を持ち上げ、テレビ並みの画面に向かって投げつけた。入れ違いに画面の向こうから、鈍色の鎌が飛び出てくる。
 愛用していた炎神と比べるとかなり性能が落ちるのだが、これでも死神の鎌。問題はないだろう。
 炎神を収めるホルダーに鎌を収め、翔は銀時達が居る部屋の襖を開いた。


 大惨事だった。


 何か、言葉で表現出来るのかな、という具合の。
 銀時と近藤が妙の暗黒物質を口の中に押し込まれていて、政宗と幸村が悲鳴を上げながら互いの体を抱き、その光景を見ていた。
 お市は何故だかシクシクと泣き始めていて、官衛兵を闇の手の中に引きずり込んでいた。
 いつの間にやらシノとミウが新八の家にやって来ていて、神楽と共に新八に野草を食べさせようとしていた。
 ……頭痛がしてきたのも気のせいにしたい。

「まず訊こうか。お前ら一体何をしてるんだ!!」

 翔の絶叫が、部屋中を反響して消えた。

***** ***** *****

「へぇ。銀が記憶喪失ねぇ……。それは大変大変」

 燐菜は口では大変と言っているが、表情はニコニコ笑顔。全然大変と思っていないらしい。
 対峙しているは翔。とりあえず世話になっている燐菜には言っておこうと思い、茶屋まで呼びだしたのだ。
 携帯という代物を持っていないので、昴に借りて電話をかけた事は一応言っていない。

「で、だ。しばらく万事屋には来るな。そして自分の身は自分で守れ。俺は炎神を折っちゃったからな、お前を守る事は出来ない」

「分かった。頑張ってみるよ、何せ私は、惑星能力の使い手だからね!」

 えへん、と胸を張る燐菜。その台詞、何度聞いたことだろう。
 先が思いやられた翔は、とりあえず大きなため息をついた。

「何でため息をつくのさ?! もう、燃やしちゃうぞ」

「お前の魂狩っちゃうぞ」

「止めてお願いします負けました」

 脅迫するように鎌を見せた翔は、燐菜の反応を見てけらけらと楽しそうに笑った。
 その時だ。
 燐菜の腕が何者かに掴まれ、そのまま茶屋を引きずり出された。

「あーれー……」

「おいぃぃぃ?!! 言ってる傍から連れて行かれるなよお前!!」

 翔は急いで茶屋から飛び出し、連れて行かれた燐菜を追いかける。
 のん気に笑っている燐菜、全然自分で身を守る事が出来ていない。どうしたものだろうか……。

「くっそ……。死神ナメんなよ!!!」

 死神も人間ではないですから、運動神経も並はずれています。
 翔はクラウチングスタートで距離を縮め、飛び蹴りで燐菜を取り返すのに成功した。

「……ハァ。だから言っただろうが、お前。自分の身は守れ!」

「うん。ゴメンね」

 申し訳なさそうに謝る燐菜。
 翔は舌打ちをして、そのままスタスタとどこかに行ってしまった。そっちは万事屋の方向————。