二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.82 )
日時: 2011/04/04 17:10
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第7話 記憶喪失に負けず、叩けば直る。


 屋根が吹っ飛び壁は壊れ、それでも何とかそこに存在する万事屋。
 ボロボロの階段を上り、ない玄関の向こうを見やると銀時を除く全員が、そこに集合していた。
 ソファがないから瓦礫に座り、ぺちゃくちゃと雑談をしていた。
 ……訂正、雑談ではなくただポリポリという音しか聞こえてこなかった。

「お前ら、何をそんなにポリポリ言わせてるんだ」

 翔が怪訝そうに顔を歪め、中に足を踏み入れた時、グシャッと何かを踏みつぶした。
 足をどけてみると、そこにあったのは酢昆布の箱だった。どうやら、全員で酢昆布を食べているらしい。

「神楽かよ、お前ら」

「別に何だっていいだろうが。俺らがどこに居ようと俺らの勝手だ」

 政宗が面倒くさそうに言葉を吐き捨てる。ちゃんと酢昆布をかじりながら。
 幸村も、小十郎も、佐助も、慶次も孫市も鶴姫も元親も元就も家康も三成も官衛兵も吉継もお市も皆して酢昆布をかじりまくっていた。

「銀時は戻ってこないぞ。どこに居ようがそれは間違いはない。何せ、記憶を無くしちゃっているんだからな」

「分かっているでござる、そんな事は」

 幸村はしんみりとした口調で、翔に言う。
 翔の瞳が、ふてくされたように床に寝ころぶ雪村を映した。

「銀時殿が記憶を無くした事、某達を覚えていない事も分かっているでござる。でも、それで何になると言うのか」

「まぁ、少なくともあいつはまともに生きて行くんじゃねぇ?」

 翔が冗談交じりに言ったら、酢昆布の空箱が飛んできた。
 もちろん、投げたのは鶴姫である。

「翔さんは悲しくないのでございますか? 銀時様が居なくなられ、万事屋は崩壊寸前でございますよ!!」

「どうでもいい、そんな事は。俺は死神だからな」

 空箱を次々と踏みつけ、とりあえず近くにあった瓦礫に座り込む。
 翔は静かにため息をつき、空を見上げた。
 青々とした広い空が、自分達を無情に見下ろしている。何故か妙に腹が立った。

「確かにな、今の万事屋は崩壊寸前だよ。銀時はこんな俺でも万事屋に置いてくれた恩人だからな。でも、だからと言って俺は銀時に忠誠を誓う訳でもない。俺は死神だ。人の命を狩り、送る神だ。いずれは銀時も空へと送るだろうよ」

 翔は瓦礫から立ち上がり、そして万事屋を去ろうとした瞬間、
 頬を銃弾がかすめて行った。
 何事かと思ったら、ない玄関の所に雫が紙を持って突っ立っていた。

「雫か、何だよ。ここは万事屋だけど崩壊してるぞ」

「そんなんじゃない。うちは、銀さんが居る場所を伝えに来ただけ」

 ビッと紙を翔の前に突き出し、雫はため息をついた。

「大変だったんだから。凜さんに情報を聞いて会いに行って地図まで作って——。一体何をしてんだろ、とか思ったりしたけど。思い出してほしいんでしょ? 銀さんに、皆の事」

「……へぇ。いい働きをするな、お前」

 何だよー、と雫は頬を膨らませた。
 翔は紙を新八に投げて渡し、代わりである鎌を背負い直した。

「おし、お前ら。銀時救いたいんならそこに行くぞ。せっかく雫が凜から取ってきた情報だ、ありがたく使わせてもらおうぜ!!」

「Ha!! あまのじゃく野郎が、素直に『一緒に助けようぜ』って言えばいいのによ」

 政宗が酢昆布をふっ飛ばし、腰に刀を装備した。
 全員各々の武器を持ち、準備は万端。今度は必ず、

「銀時、助けんぞ!!」

「「「「「合点!!!」」」」」