二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 雪のCLOVER 【銀魂】〜箱庭王女篇〜コメ下さい><; ( No.13 )
- 日時: 2011/03/14 21:19
- 名前: 白雪 (ID: wJNgr93.)
第五訓『ル○ンみたいアルヨ』
翌日————
「おい!起きろ低血圧!お前が明日甘味屋に案内して〜うっふん。って言うからわざわざこう、起こしに…」
「スー…スー…」
「聞けぇぇぇぇえ!!!」
銀時は自分よりも低血圧な少女を起こすのに四苦八苦していた。
でかい声を出そうが蹴ろうが殴ろうが目覚まし時計で殴ろうが、低血圧少女——雪亜はピクリとも動かない。
変わりに出会ったときと同様に、規則正しい寝息がスースーと聞こえてくるだけで…
(何なんだよコイツは…)
「銀ちゃーん。朝ごはんはまだアルカー?」
「神楽ちゅわぁぁん!!」
「銀ちゃん、二文字だけいいアルカ?…キモ。」
弱音をはいていたところに押入れから出てきた救世主を称えるように名を呼んだつもりが、かえって嫌悪感を与えたらしい。
『子供は正直』
その言葉を思い出し、銀時は雪亜を起こすのを一時停止して落ち込むことに専念した。
そして雪亜を起こすという重役は、その後に万事屋へ出勤してきた新八に任せられた。
「ふぁぁっ!おはようみんな」
「「「おはようじゃねぇ!!!もう昼過ぎだぁっ!!」」」
「う?お、おぅ」
結局昼を過ぎるまで目を覚ますことなく熟睡していた雪亜は、時計を確認すると寝起きからか、珍しく落ち着きのない様子を見せた。
「で?『みかん』って甘味屋へ行くんだろ?さっさと着替えと準備済ませろや」
「うん。じゃあ和室借りるよ?」
「んじゃ、俺らも準備すっか」
そして数分後、雪亜の着替えと準備もすぐ終わり、万事屋一行はさっそく雪亜の知り合いの働いている『甘味屋みかん』へ向かった。
「雪亜ご飯どうするアル?朝から食べてないんじゃないアルカ?」
「あぁ、向こうで軽くつまむさ」
その店は銀時曰く団子やまんじゅうだけでなく、軽食なども扱っているらしい。
万事屋から十分ほど歩いていくと、木造りの看板に『甘味屋みかん』と書かれた大きくも小さくもないこじんまりとした店が見えてきた。
「あそこか?古風で私好みの店だ」
「おう。いいとこだろ?中で食うか?外で食うk…」
「中がいい」
「即答かよ」
雪亜の風流もクソもない答えに銀時は、新八に助けを求めようと振り向いた。…が、新八はある一点を見つめて汗をだらだらと流している。
銀時も新八と同じ方向を見るべく後ろを振り返った。
「銀ちゃん、ニコマヨ中毒がいるネ。ドSバカも一緒アル」
「誰だそれは」
「腐れ警察アル」
「ふ〜ん。かっこいいね、顔」
「「「!!??正気か!!??」」」
「今日はやけにみんな声が揃うね。打ち合わせでもした?」
「してねーよ」
声が揃うのは万事屋三人が心が一体なのか、雪亜がそう思わせるほど天然なのか…
とりあえず真選組の連中に感付かれないよう、静かにそっと店内に入る。落ち着いた雰囲気に相応しい清楚な定員さんが、銀時らを迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「四人で、席はすみっこの方にしてください」
「はぁ…かしこまりました。お席へご案内致します」
新八の小声と態度と席の要望に定員のお姉さんは少々引き気味だ。
「あの人じゃないアルカ?雪亜の知り合い」
「う〜ん…違うんだよなぁ、な〜んかこう、も〜っと髪がぁ短いの〜よ〜。んで〜、クールというか怖いというか…根は優しいんだけどっね♪」
「ル○ンみたいアルヨ」
雪亜は知り合いを探すために、席へついた後もキョロキョロと店内を見渡していた。
すると、少し幼いような青年の声音が耳に響いてきた。
「旦那ら、こんなとこでそんなちっこいの連れて何してんですかィ。お〜い、土方さん。旦那がとうとう誘拐犯になっちまいやしたぁ」
「ちょっとやめてくんない。わわっ!大串くん店内抜刀禁止!銀さんそんなことしてないから。…コイツは万事屋で雇った王女様。神楽が気に入って、給料いらないって言うから俺も気に入って…」
「なにネお前ら!お呼びじゃねぇんだヨ!!」
「うるせぇな。お前みたいなのに構ってる暇なんてこっちにゃねぇんだよ」
「んだとぉ!!」
「はいはいそこまで〜。神楽ちゃんも沖田君も店の中では静かにね」
沖田と呼ばれるこの少年——栗色の髪をさらさらとなびかせ、赤い瞳を持つこの少年は、神楽のいい喧嘩相手であり、真選組の一番隊隊長である。
「おい総悟。もう帰るぞ…万事屋?誰だそいつ」
覗き込むように小首を傾げる土方の耳に、雪亜の棒読みな言葉が響く。
「さっき説明したのに…真選組の奴らは随分と失礼なんだね。私をそいつ扱い…酷くね?」
「まぁまぁ雪亜ちゃん。すみません土方さん、この子は万事屋で雇っているトレフィア王国の第一王女なんです」
一方土方と呼ばれた黒髪直毛ヘアの凛とした男は、真選組の副長を務めている。
「王女様…その王女様をダシに使って金を稼ごうとしているわけだな?」
「大串君ったら人聞きの悪い…んで?肝心の知り合いの姉さんは見つかったのか?」
土方が抜刀しそうなのを片手で止めると銀時は雪亜に声をかける。そもそも今日の目的は知り合いのお姉さん探しなのだ。
「…う〜ん…あ!いたー!!!」
突然雪亜が椅子を立ち、ある一人の女性を指差した。
黒髪ショートヘアの甚平を着た女性。背は高く、その顔は意思の強さを形にしたような凛として綺麗な顔だった。
沖田や土方と別れた後、雪亜はその女性へと声を掛けた。
「朱雀お姉ちゃん!」
【続く】