二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〔銀魂〕   *。夢は儚く、愛おしく。* ( No.81 )
日時: 2011/04/09 16:42
名前: 瑠々 (ID: .qxzdl5h)


第九訓 再会してもあんまり実感沸かない


町をぶらぶらと歩いていると、町がとても賑やかだった。
10程の少女達の隣を通り過ぎれば、待ち合わせの声も聞こえてくる。

(祭りは夕方からなのに皆元気良いなー)

などと考えながら、適当に道を歩いていた時、細い路地裏に見慣れた姿があった。
笹を被って顔までは良く見えないが、「凛が知っている人物」と言う事は確かだ。
声を掛けてみよう、そう思い人物へ近付く。
凛が近付くのと同時に相手も此方に気付いたのだろう。笹を上に上げ、顔が見えるようになった。

———其の時凛は、赤い目を見開いた。

黒い長髪に整った顔立ち・・・。
この様な者、他に居ようか。

凛は相手を指差し、叫び声に近い声を上げた。

「ヅラァァァァ!!?」

凛の声に相手も驚いた顔をしている。
そして、驚いた口調で「凛か!?」と聞いた。凛はこくこくと首を縦に振る。


——其の人物は、凛の盟友でもある、桂小太郎だった——・・・。



「まさかヅラとは思わなかったよ。久しぶりだねぇ」

「ヅラじゃない桂だ。本当久しぶりだな。今迄何処にいたのだ?」

「田舎町」。凛はそう簡単に答えると、何か思い出した様な表情になり、桂に聞いた。

「そう言えば今日祭りだよね。将軍出席の。ヅラはやっぱ参加するの?」

「今日の祭りは真選組が居るからな。長居するつもりは無い」

「そっか」と自分から聞いた癖に如何でも良さそうな返事をした。
凛は少し赤く染まった空を見上げた。「如何したんだ?」と言う桂の問いを聞き、視線を戻すと答えた。

「ほら、『アイツ』だよ。確か祭り好きだったでしょ?もしかしたら来るかもって思っただけだよ」

「『アイツ』か・・・」

凛の言う『アイツ』が誰だか分かったのだろう。そう呟き、微笑んだ。が、一瞬の表情の変化を凛は見逃さなかった。

呟いた時の表情。
一瞬だったけれど、確かに其の表情は少し悲しい様で怒っている様な、そんな表情だった。

「ヅラ?何か隠してるでしょ?」

凛は直球で言った。
銀時の時も、そう聞こうと思ったが、周りには新八や神楽、神夜が居たから聞きにくかった。が、今周りには誰も居ない。
桂に聞くしか無いのだ。

桂は凛の言葉に、一瞬戸惑った表情をしたが「しょうがない」と呟いた。



「まぁ、簡単に言うとな。奴と俺達は、ちょっとした一件以来、
斬り合う仲になったんだ・・・」





 一陣の風が、桜の木々を揺らした。