二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロの曲を小説化. harvest&会いたい 完成@ ( No.25 )
日時: 2011/03/22 14:01
名前: 抹茶. ◆1TtGcOAK06 (ID: O.mDLNUw)
参照: 鬼彼女 @


「よし、今日はいっぱいオシャレしたし、大丈夫よね」

 ドアを開け待ち合わせ場所に向かう。すぐそばの公園なのですぐに着いてしまう。
 着くとそこにはすでに見慣れた姿が見えた。彼の肩を2回ほどたたき振り向かせる。

 ———・・・オシャレ、気付くかなぁ。いつもと違うね。とかいってくれるよね。


「よし、じゃあ行くか」

 彼はそう言うと車に乗り込んでしまった。
 えっ。何も言ってくれないの??オシャレしてきたの見えなかったの??

 可愛くないの??!


「レン!!」

 彼の名前を呼び車から引きずりだす。

「オシャレしてきたの見えなかったの!!」

 新しい洋服も、綺麗に塗ったお化粧だって君は全部見てない!!君のために着てきたのに。全部無駄じゃないの!!
 そんな君にはもう!!踵落としだぁ!!

「ぐはっ!!気付いてたよ」

 はっはぁ??!今更なによ!!だったら最初から言ってよ!自分から言って褒められるなんて惨めなだけじゃないのよ!!

「は、始めから言ってよね」

 考えてみればいつでもそうじゃない。君にとって私はその程度なの??
 彼はまた車に戻っていく。
 いい加減にしてよ!!

「ねぇ不満なの!!私はいったい君の何なのよ!!」
「えっ・・・」

「言葉にして!!声に出してよ!! 君の意見を聞かせて!!もうっバカ!!」

 彼は傍まで歩み寄り困り顔で

「ご、ごめん。リンそんな事思ってたんだ。ごめん」

 なっ、なんでそんな魔法みたいに可愛いのさ。で、でもそんな魔法いつもくらってるもん。
 そんな長く効き目は続かないもん。

「何よ!!その顔!!可愛いけど、その、もう!!張り倒すわよ!!」

「勘弁してください」

 またした。その困り顔。怒れるに怒れないじゃないの。

「うっ・・・うぅ。 しっ、しょ、しょうがないなぁ。で、でも、調子になんかに乗るなし」

 軽いビンタを一発くらわせ車の助手席に乗る。今から向かう所は市内の動物園である。


 動物園につくと彼と同じクラスの女子達がいた。

「あっ、レンく〜ん」

 一人の水色の髪の毛の女の子がこちらに手を振ってきた。

「ミクちゃん!!」

 私と一緒にいる時と同じくらいの笑顔を見せる。いつだってそう。
 誰にでもそのスマイルをみせる。正直嫌になっちゃうね。
 でも、そんな所も好きなんだけど。

 あの子にも、この子にも平等で優しい。私は??私も平等に入るの??

 あぁ〜!!もうっ!!ムカつくな!!人前だけどムカつくんだもん。
 お前みたいな奴には飛び膝蹴りだぁ!!

「痛っ!!何すんだよ」

「リンちゃんイキナリ、レン君に何してんのよ」

 レン贔屓のミクが言った。もう私の目にはうっすらと涙が乗っかていて、頭を一振りでもしたら落ちそうだった。

 応えてよ!!私は特別なんでしょ??ミクっていう子と私どっちが大切なの??
 どうして何時もそう。ハッキリしないの??
 いい加減に・・・・してよ!!

「不満なの!!だから私は君のなんなのよ?? ちっともしてくれない事いっぱいあるじゃない!! トナリにいてよ!!手をつないでよ!! ちょっとくらい抱きしめてよ!!」

 目から何粒もの涙が頬を伝っておちてくる。
 なんで君は困り顔ではにかむだけなの??
 またそんな可愛い魔法で誤魔化す気??
 蹴っ飛ばすわよ??

「調子にのるんじゃねぇわよ」

 涙は止まる勢いを知らず、ポロポロ流れてくる。

「リンごめん」

 彼は優しい言葉をかけながらこっちに近づいてきてポケットからハンカチを取り出し涙を優しく拭いてくれた。
 君のそんな優しい態度にまた泣けてきちゃって、涙はまだまだ流れてくる。
 ハンカチを見てみるとそれは誕生日にあげた兎の刺繍がしてあるハンカチだった。
 あぁ、大事にしてくれてたんだ。またそんな事で泣けてきちゃって涙は止まらず流れ落ちてきた。
 でも、君は丁寧にふき取ってくれた。

「ありがと」

「じゃぁ僕あっちで呼ばれたから行くね」

 優しいと思ってたから騙された。なんであいつはこんなにも無神経なのよ!

「レン!!」

 歩き出した彼の左腕を掴み呼び止める。

「嫌いならそう、言ってよね??我慢だってしなくていいから!!優しい君が好きなの!!偽者の君はやだっ!!愛想笑いじゃ嫌だよ!!」

「うん・・・」

 また君は愛想笑いを浮かべる。
 この気持ちをぶつけちゃいたい。

「もう!!だから不満なのよ!!私の事好きなの??」

「うん・・・」
「好きと言って!!甘えさせて!!ねぇ君にはそんな力が無いのは知ってる。でもキツく強く抱きしめて!」

「あぁ。うん」

 私だけの可愛い魔法を使う魔法使い。君がかけた解けない魔法をもっと解けないようにしてよ。だって・・

「君がただ好きだからなの・・・!!」

 君の胸、叩こうと思い振り上げた手を押さえられて君が近づいてきて、
 ドキドキする胸の鼓動をとめて欲しい。でも君のも聞こえてきて。

「リンごめん!! あの、だからその、結婚しよう!!」


「調子に乗るなっていったじゃん!!」

 また涙が流れてきて君はビショビショになったハンカチをまた出して私の頬を拭いてくれるの。
 それじゃ意味無いじゃんって言っても君は何も言わなくて。
 君が目元を拭いてくれるから目をつぶったのに、君は勘違いしてるのかキスしてくれるの。