二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第2話 ( No.16 )
- 日時: 2011/06/04 01:19
- 名前: 雷燕 ◆bizc.dLEtA (ID: w1dOosot)
レイアが小さく言うのと、少年コウキ(多分)がコロトックをモンスターボールに戻すのとは同時だった。
「ありがとう、お疲れ様。ゆっくり休んでね。……やるね! 初めてとは思えないよ! でも次は僕の相棒と本気で行くよ! 頼んだ、エンペルト!」
そう言って彼がモンスターボールから出したのは、大きくて硬そうなペンギン(のような生物)だった。
「げ、一匹倒したと思ったら次はエンペルトかよ」
「行くよ、ハイドロポンプだ!」
エンペルトの口から、大量の水が勢いよく吐き出された。速い。これって考えてみれば汚いよな……などと考えている場合ではない。疲れたヒトカゲが避ける間もなく、水はヒトカゲを呑み込んだ。水に押され倒れたヒトカゲは起き上がらない。
「やった、勝ちぃ!」
レイアはヒトカゲをモンスターボールに戻した。
「ヒトカゲ、ありがとう。凄かったよ、お前」
そしてコウキ(推測)少年に顔を向ける。
「……やっぱ強いな、お前。もしかしてシロナさんに勝ったりした?」
「えへへ、実はね。それでオーキド博士に会いに行くところなんだ」
「そっか、凄いな。あ、なあ、ポケギア持ってる? 持ってたら電話番号交換しようぜ。名前は?」
「うん持ってるよ。僕はコウキって言うんだ。君は?」
「レイア。またバトルしようぜ。との時は強くなってるからな!」
「ああ!」
「んじゃ!」
そう言って、道を後戻りしてハクタイシティへダッシュした。ポケモンセンターへ行かなければ。
ハクタイシティへ着いてポケモンセンターへ入った。ジョーイさんと思われるお姉さんにモンスターボールを預けると、割とすぐに帰ってきた。
「はい、ポケモンは元気になりましたよ」
「ありがとうございます」
そしてヒトカゲを出し、またハクタイの森へ向かった。途中ですれ違ったコウキ(確定)に手を振って、さっきの場所へ戻る。
初めてのバトル。
負けてしまったが、相手が相手だったし、一匹でも倒せたということは大きいと思う。あの場面でコロトックの攻撃をかわせた事は純粋に凄いとも思う。こうしたバトルを繰り返していくことで、ヒトカゲとの信頼も強くなっていくのだろうか。
「よし、行こう」
ヒトカゲに声をかけ、レイアはハクタイの森へ足を踏み入れた。
森の中は薄暗いが、所々に木漏れ日がさしていた。そこにかたまって日向ぼっこをしたり、じゃれ合ったり。そんなポケモンたちを眺めながら進むだけでも結構楽しい。そして、草むらを歩いているとたまにポケモンが飛び出してきて。
「ヒトカゲ、ひのこ!」
バトルをしたりしながら進んだ。森の中で出てくるポケモンは草タイプや虫タイプが多いので、ヒトカゲとは相性がよく倒しやすい。それでも少しずつながらダメージは溜まっているかと思い、時々
「ポケセンに戻らなくて大丈夫か?」
と声をかけるが、「もちろん!」とでも言うように元気に返事をする。本当にバトルが好きなようだ。ポケモン図鑑曰く生命力の証であるらしい尻尾の炎も元気に燃え盛っているし、まだまだ大丈夫そうだ。
森に入って幾らか経ち、だがしょっちゅうトレーナーや野生のポケモンとバトルをしていたため距離的にはそこまで進んでいない、そんな頃。大人の女性の声がした。
「あの、ヒトカゲ一匹みたいなのにさっきからたくさんバトルしてて凄いですね。私、モミって言います。ハクタイの森を抜けてコトブキシティに行くところなんですが、この森ちょっと苦手なので一緒に行きませんか?」