二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第2話 ( No.22 )
日時: 2011/06/08 14:00
名前: 雷燕 ◆bizc.dLEtA (ID: 5YBzL49o)

「うっし出てきた」
「よし、倒すのは私に任せて! ロズレイド、マジカルリーフ!」

 ロズレイドが体から葉っぱを勢いよくロトムへ飛ばした。葉っぱは念か何かだろうか不思議なものを纏っていて、刃物の様に鋭く見える。
 ロトムは電撃波を放ち、マジカルリーフと相殺された。

「お、やるじゃん。だったら……しびれごな!」

 ナタネがそう言って、ロズレイドは黄色の粉をロトムへ飛ばした。ロトムはその粉を被ってしまう。
 しびれごな。レイアの個人的な見解では凄く面倒な技だ。麻痺状態になると時々技が出せないばかりでなく、素早さも下がってしまう。
 ロトムは思うように体が動かせないらしい。

「マジカルリーフ!」
 ロズレイドが先ほどと同じ葉を放つ。さっきより早い。ロトムは反応できず、攻撃を食らってしまった。ロトムは苦しそうな鳴き声をあげる。

 その時だ。
 その鳴き声に、意思を感じたのだ。

 明確な言葉として伝わってきた訳ではない。しかし、ロトムの感情が、鳴き声に込められた思いが、伝わってきたような気がしたのだ。
 彼女は頭の中でそのロトムの鳴き声を彼女なりに言葉に変換してみる。
「出て行け」「放っておいてくれ」
 そんな言葉が出来上がった。

 そうこういしている間にも、ナタネはロトムを追い詰める。

「よし、とどめの——」
「あの、止めてあげてくれませんか」

 レイアは深く考えるよりも早く、そう言っていた。

「テレビから出しておいて何ですけど、別に倒さなくても良くないですか? 迷惑されたわけじゃありませんし、こいつがここで暮らしていきたいなら放っておいても良くないですか?」
「う……そう言われると反論できないわね」
 ナタネはレイアを見て言った。
「これからこの洋館で何か起こったらロトムが何かしてるな、とでも思えばいいですし……」
「あーはいはい分かったわよ。確かに倒す必要はなかったかもね。戻って、ロズレイド」

 ナタネがモンスターボールにロズレイドを戻す。

「ありがとうございます」
「ううん。にしてもどうしていきなり?」
 何故だろう。あれは何だったのだろう。突然ポケモンの声が意味を持って聞こえたような。
「いえ、別に……」

 レイアはロトムに近づき、しゃがみこんだ。だいぶダメージを受けているようだ。彼女はロトムを覗き込んで、話しかけてみた。ナタネの前で、というのが恥ずかしいが。
「ご免な。今傷薬とか全然持ってなくて。……なあお前、この場所が好きなのか?」
 ロトムが頷いた。
「そっか。運よく今はまだモンスターボールを何も持ってないからゲットできないし、」持ってたらするのね、とナタネが苦笑する。「まあ、また縁があればどこか出会おう」

 レイアは立ち上がった。
「それじゃあ、モミさんに悪いしもう行きますね。コウキには今度、たっぷり文句を言ってて下さい」
 そう言い残して、部屋から出る。「またねー」とナタネが言ったので後ろを向いて手を振ると、ナタネとロトムも手(とそれらしきもの)を振っていた。


 薄暗い洋館の扉を開け薄暗い森に出ると、真っ先に出迎えてくれたのは、モミの
「きゃああ!」
——と言う悲鳴だった。
「あ、レ、レイアちゃん」
「そんなに驚かなくても」レイアは苦笑した。「こっちがびっくりしますよ」
「ごめんごめん。それで、何かあったの?」
「ナタネさんとロトムでした。モミさんこそ、何でこんな扉のすぐ前に」
「レイアちゃん大丈夫かなあと思って、入ろうと勇気を振り絞ってたところ」

 そう言ってモミが照れくさそうに笑うので、つられてレイアも笑った。
 それからは先ほどのように談笑したりバトルをしたりして進んだ。しばらく道を歩いていると、前方がずいぶん明るくなってくる。
「お、出口ですかね」
「そうみたいね」
「ヒトカゲ、よかったな。やっとポケセンで休めるぞ」
 レイアは、はははと笑った。