二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第3話 ( No.25 )
日時: 2011/07/22 10:39
名前: 雷燕 ◆bizc.dLEtA (ID: n0YhO.Hu)

 抜け道を抜けて草むらを進むと、高いビルが群集する町に着く。やっと、コトブキシティだ。

 周りを眺めながら、大通りを進む。通勤ラッシュは過ぎた時間帯だろうが、人通りが多い。さすが札幌か——などと考えながら少し進むと、赤い屋根の建物が見えてきた。ポケモンセンターだ。
 自動ドアをくぐると、カウンターの向こう側に立っている女性の他に、何人かのトレーナーがいた。レイアより年下の子供もいれば、その親のさらに親と思われる世代までいる。ゲームと同様、いやそれ以上に、年齢層は厚い。

 ヒトカゲをモンスターボールに戻して、カウンターの女性に預ける。待っている間、置かれてあったテレビを見た。人間とポケモンの出てくるドラマのようだったが、内容が全く分からないのでつまらなかった。
 名前を呼ばれて、カウンターへ行く。モンスターボールを貰うときに、女性に質問をした。

「この町には初めて来たんですけど、デパートってどこにありますか?」
「モンスターボールとか、生活必需品とかを買うのかしら? このポケモンセンター沿いの大通りを北に進んで、三つ目の信号を左に曲がれば左手に見えてくるわ。茶色と白の看板よ」
「ありがとうございます」

 礼を言って、レイアはポケモンセンターを出た後ヒトカゲを出す。女性の言った通りに進むと、大きな建物が見えてきた。大きな茶色と白の看板も見える。
 入ろうとすると、自動ドアのセンサーはレイアを感知しなかった。……と、いう訳ではない。ガラスのドアに書かれた白い文字と数字を見ると、開店は9時半からのようだ。ポケギアで現在の時刻を見ると、午前9時過ぎ。30分弱、どこかで暇をつぶさなければ。

 とりあえず散歩をしながら、ゲームの中でコトブキシティにあるものを思い出す。テレビ局……別に行ってすることも無い。ポケッチカンパニー……ポケギアがあるから、ポケッチにはあまり興味が無い。トレーナーズスクール……トレーナーとしての基本知識は備えているつもりだ。コトブキマンション……行って何をしろと。
 結局何もすることが無い。ゲームには無い面白い場所があるかも知れないし、と、2人で散歩を続けることにした。

 さっきのポケモンセンターの近くに来たとき、建物の裏で数人の子供がバトルをしているのが見えた。子供と言っても、幼稚園児くらいから中学生くらいまでと、幅はある。バトルをしているのは3組で、余っている数人は観戦をしながら話していた。
 レイアは観戦をしているうちの、年齢が近いように見える少年に声をかけた。

「友達皆で集まってバトルしてるのか?」
「ん? いや、ここのポケセンで知り合って、挨拶がてらバトルしてるんだ。まあ、俺の場合はいろんな奴とバトルしたくてよく通ってるんだけど。お前もやる?」
 知り合ってすぐにその場でバトルをするのか。やっぱりこの世界で、ポケモンバトルというものはいいコミュニケーションになるらしい。
「ああ、させてもらいたい」
「じゃあ、次に一緒にやろうぜ。1番左の組がもうすぐ終わりそうだ」

 そう言われて1番左でバトルをしている2人を見ると、一方の、白くて電気を操るリスのようなポケモン——パチリスがかなりダメージを受けているだった。もう1匹のムクバードの「でんこうせっか」の技があたると、パチリスは倒れた。

「ムクバード、やったぞ!」
「あ〜あ、負けちゃった……。パチリス、ありがとう」
 バトルをしていた2人は2匹をボールに戻すと、話をしながらポケモンセンターの入り口の方へ歩いていった。

「よし、じゃあバトルしよう。あ、長引かないようにポケモンは1匹な」
「分かった。まあ、元々1匹しか持ってないから。よしヒトカゲ、バトルだ!」
「行くよ! 出て来いルクシオ、かみつくだ!」