二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第3話 ( No.26 )
- 日時: 2011/07/27 09:53
- 名前: 雷燕 ◆bizc.dLEtA (ID: lP7eWhd3)
「ヒトカゲ、ひのこ!」
「でんこうせっか!」
バトルをしていると、ポケギアが鳴った。素っ気の無い着信音。この電話にかけてくる相手と言えば、オーキドかコウキしかいない。
バトル中だったので、それと、開いてみるとオーキドだったので無視した。
「スパークだ!」
ルクシオが体に電気を纏って突っ込んでくる。ヒトカゲは指示をせずともそれを避けた。
「いいぞ、ひっかく!」
「かみつく!」
「ひっかく」の技をしようとルクシオに近付いていたため避けきれず、ヒトカゲは腕に噛み付かれてしまった。ルクシオは噛み付いたまま離れない。
「ヒトカゲ、その状態のままひのこ!」
至近距離からのひのこをくらい、ルクシオはその場で倒れた。
「よっしゃあ! 凄いぞヒトカゲ!」
「うわーヒトカゲに負けちゃったかあ。強かったな」
それから、オーキドに電話をかけた。
「……あ、もしもし。レイアです。さっきはすみません、バトルしてたので」
『いや、急用じゃないからかまわんよ。ところでお主、今日は忙しいか?』
「いいえ全く。何故ですか?」
『最近旅を始めた知り合いがおってな。一人はさびしいと言うんじゃ』
じゃあ最初から友達に声でもかけとけよ、と思った。かけて断られたのか知らないが。何にせよ、嫌な予感がした。自分は一人で気ままに旅がしたい。
『それで今日、同い年の同姓が初めてトレーナーになって旅に出たと知らせたら喜んでな。一緒に旅をしたいと言うんじゃが、どうかの?』
嫌な予感的中。
同い年の女か。大人数で固まり大声で笑い合い、常にテンションが高い奴らなんかは苦手なんだが。男子と話しているほうが気楽なタイプなのだ。
「どうと言われても、私としては独りの方が気楽です。まだ会ってもいないから色々言いにくいですが」
『じゃろうからとりあえず会ってみてくれ。今ミオシティにおるらしいんじゃが、何時にならいけるかの?』
1時間強デパートをふらついて、ミオシティに行くのも時間がかかると考えた方がいいか。
「11時半くらいなら行けるかと」
『分かった。じゃあ伝えておく』
「分かりました——それでは」
そう言って電話を切った。
誰かと一緒に旅、か。全く考えていなかった。どうだろう。やはり2人の方が1人より楽しいだろうか。でも、他人に気を使いながらというのも疲れる。気の置けない友人というのならまだしも、今から会う人といきなり、だ。人付き合いがあまり得意でないレイアにとっては少々厳しい。
まあずっと友人をつくらないというのも寂しいし、と腹をくくった。