二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.10 )
日時: 2011/03/12 21:51
名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: j553wc0m)

番外編 # ホワイトデーに哀を


 「に、い、さーんっ! チョコあるんだよねチョコ!」
「おにーさんは優しいから絶対あるってー」

 金髪のショートヘアに白のうさぎみたいなスカーフが目立つ彼女は、青色の髪の青年に助走をつけて思い切り抱きつく。青と緑が混ざった様な色の髪を、ツインテールに括っている彼女は、その横で歩く。青年は暖かい春に青いマフラーを巻くと言う何とも季節外れなファッションをしている。
 閑話休題。金髪少女の鏡音リンは、ホワイトデーの今日、青髪のカイトにチョコを可愛く強請る。ツインテールの彼女、初音ミクは言わなくとも分かると言う風に話す。例え自分がバレンタインにチョコをあげていないとしても。
 ちなみにリンはバレンタインの日、カイトに、市販に売っているサッカーボールや野球ボールの紙に包まれているチョコをあげた。

 「どうかなー?」

カイトは軽く笑いながら二人に向けて言葉を出す。

 「……ないの?」

二人はカイトの言葉の後に笑顔で少し間を空け、次はその笑顔のままでドス黒いオーラを出すと言う高度な技術を兄さんに向ける。
彼女らの痛い視線が彼に刺さる。これはもう脅迫の域だ。カイトは痛い視線から逃げる様にして言い訳を並べる。

「いやあのね、ない訳ではないんだよ? ただちょっとだけ準備が終わってないからね? だから今日皆集めてちゃんとあげるから、ね?」

勿論、実際準備もチョコの用意も全くと言って良い程していないが、この年下の痛いわがままから逃げるにはこれしか方法が無い。

「そうなんだー、早く言えば良いのにー。ね、お姉ちゃん?」
「ねー。あるんなら言ってくれれば良いのにー。ねー、リンちゃん」

二人はドス黒いオーラを出すのをやめ、二人で会話する。が、「ね」の後に続く言葉は、喋っている相手に向けているのではなく、明らかにカイトに向けて言っているものだった。ドス黒いオーラを出して。
まるで「はよう持ってこんと明日みっくみくになるぞボケェ」とでも言っているかの様に。


 その脅迫のおかげで、その夜皆はカイトからチョコレートアイスを貰ったのである。
 そして台所にはチョコレートアイスができあがる前の物体が置かれていた。