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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.128 )
- 日時: 2011/06/18 17:25
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode
——後に残るのは、嗚咽と後悔。
#02 季節と時間はもう戻らない
人を撃つのはこれで初めてじゃないけれど、泣きながら撃つのは、初めての経験だった。
最初に人を殺めても、私は泣かずに受け入れた。これはもうどうしようもない。そう思って、泣きたい気持ちを抑えた。
人を殺めるのが五回くらいになって来た頃、私は歪んでしまった。死体を見ても何も思わなかった。正義と希望は、そこで終えた。
君が静かに微笑む。殺したくないと言う思いが強まる。私は溢れて零れる涙をそのままにして、にじむ視界に映る君を見つめる。
——さあ、引き金を引くの。
————どうしてどうして。どうして君は優しく笑うの。お願い、悪いのは全部私。悪に入ったこの私。だから笑わないでよ。そんな優しい顔を、私に見せないでよ。
,
初めて出会ったのはこの場所。
季節は、春だった。静かに座ってただ遠くを見つめている君に惹かれた。君は訝しげな顔をして僕を見つめたけれど、銃まで向けられたけれど。凛としたその表情と姿を見て、僕は恋に落ちた。
季節は変わって、夏祭り。濃紺の夜空に浮かぶ花火を二人、広がる空き地で見た。二人だけのいい場所。二人だけのいい思い出を、二人で作った。あの時の君の笑顔が、恋しい。
秋の夜に、互いの秘密も何もかも隠さずに出して、君と僕は一つになった。心が、一つになった。『悪』と『正義』だって事も分かった。
冬の今日、全て、君に会った事から今までの事に終わりを告げる。春夏秋冬、今までの素敵な素敵な思い出が終わってしまう。
——君は、頬を濡らして泣いている。
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