二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.18 )
- 日時: 2011/03/21 22:00
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: 6sz9.CTE)
私は迷路を進んでます。愛してくれる人はいません。
#03 迷路を辿るのです
お月様が干乾びている。比喩でも何でも無い。本当の事だ。月の微かな光が、雲の隙間から漏れている。
自分の手足を見てみる。虫。どうやら私は本物のあぶらむしになったみたいだ。月に照らされ、黒光りする体。気持ち悪い気もするけど、これで虐められる事も無いんじゃないかって言う安心感もあった。
家の中で黒光りしたら潰される事間違い無しだね。あぁ、あまり変わらないじゃん、現状。
……あぁ。
月を見て佇んでいると、夜の景色が歪んで、白に変わっていく。白は、通路を作り出す。入り組んだ道が沢山作られて、迷路になった。残念ながら私の姿はまだあぶらむしの様だ。
適当に道を突き進んでいく。一面真っ白だから精神が可笑しくなりそうだ。さて、さがそーか。
「……ん?」
あれ、自分は何を探そうとしているのだろう。何を求めているのだろう。何を見ているのだろう。
何を求めているんだ、愛してくれる人、そう、それじゃないか。じゃあ探そう。宛ては無いんだけど。
おもむろに足を出す。どうやら、足が重くなっている様だ。何か妙に現実味を帯びている気がする。
適当に進んで迷っている途中、足が止まった。あれは、何だろう。人影? 嬉しさがこみ上げてくる。私を受け止めてくれる人? 顔が自然に綻ぶ。笑顔になる。走って人影へ向かう。
————そこで夢は消えた。
どうやら、まだ夜にはなっていない様で、夕方ぐらいの時刻だった。期待を破られて、悔しくて、倉庫を叩いて騒ぐ。大声で喚く。
アイツらにそんな事したら余計に喜ぶ。そんな事は分かっている。でもそんな事はどうでも良い。笑いたけりゃ笑えばいい。
いつもいつも、傷つけられても夢見てたんだ。だから、ここで頑張れば夢が叶うんじゃないかって、少しの希望を見た。
あの人影は私の救世主じゃないかって。だから、あの夢を叶えていくんだ。私の為に。私の幸せの為に。
ここで始動する。羨望するだけだったら、迷路を辿った意味が無い。