二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.191 )
- 日時: 2011/08/10 17:50
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
ずっと縋り付いたまま。思い出を見るだけ。
#02 独りはいやだ
一人になって、淡々と歴史を刻んでいく。その時間は、僕の世界をどれほど変えれただろうか。一人になって僕は君の幻想を夢見た。けれど、君はそこに居なくて、周りには他の人が居た。それが何だか悔しくて、寂しくて。周りの人は減っていき、僕は独りになった。その時に、僕が望んだのは君が生きた『過去』だった。
僕は独りになった。けれど僕が居た。だから大丈夫だったんだ。大丈夫だった。紛れもなく、過去形だ。僕の思っている事を君は全て熟知しているもんだから、僕は嘲笑う。
「僕から手を離す事もできないのに、馬鹿な事言うなよ」
「まあ、そうだな」
僕の言っている事が大正解すぎて、落ち込んでしまう。自嘲。
過去の僕の言う通り、僕から手を離さないと今の僕は外から出れない。僕は勇気がないから生きている過去を離したくないと思う。光は僕に眩しすぎて、追いつけない。
だけど、人が居ない人生なんて寂しい。矛盾してるのは分かってる。けれど、外に出たいけど君を放す勇気がないんだ。落ちこぼれ。今の人生に満足なんてしてる筈が無い。でも、今までの僕の行動に納得はしてる。顔を見せないから独りになるのなんて当たり前で。過去に手を伸ばした僕はどうかしていて。全て、自業自得。
——でも僕は、君と居た過去を大事にしていたいから。君と居た僕を変えたくないから。だから僕は過去と変わらないままなのに。周りの人が過去を置いて変わっていくから、今でも変わっていない僕だけが変わっているみたい。いつまでも抱え込んでいる僕が、変な人みたいじゃないか。
人は死ぬのが当たり前。それでいいのか? そりゃ悲しんでいても仕方ないさ。けれど、この喪失感はどうしたらいいんだ。いつまでも悲しさが消えないんだ。皆と一緒に前を向きたい筈だけど。変わりたくない自分も居る。どうして、どうして。
————そうだよ、僕は僕に一途なんだから僕に従っただけ、で。僕の本能に従っただけ。前を向きたくないんだ。君を手放したくないんだ。
「僕はあの時彼女が嫌いだったのか……?」
「僕よりは、好きじゃなかったよ。けれど、大好きだった」
「ほんっとう、嫌なナルシストだな」
「僕には一途だからね」