二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.192 )
日時: 2011/08/12 21:51
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

 こびり付いた景色は、涙を流しても流れない。


#03 世界はいやだ


 最低な僕の言葉を聞いて、苦笑してしまった。そして、水が出てきた。
 今までずっと、大嫌いな景色を見てきた。この二つの目で。しっかりと、ハッキリと。ちゃんと僕の目で大嫌いな世界を見て、僕は歩いてきた。
 今までずっと腐っている世界を見てきた、僕のこの二つの目は、唄を唄いだした。今までにこんなに涙を流した事があるのかと、そう思うくらいの大粒の涙が、僕のこの瞳から零れ落ちる。僕は、止まってほしいと、そう思いながら笑う。そして青い唄を唄う。こんな時でも、君の姿はまだまだ脳裏に焼き付いて離れないんだ。
 本当の涙が雫になって、落ちていくのは——僕の心だった。いつも僕の涙はどこにも発散されず、僕の中に溜まり続ける。泣いたって泣いたって、それがどこに行く事はない。君がどこに行く事は、ないんだ。
 
 皮肉にも、僕の嫌いなたった一つの願い。それは僕に生きてほしいと願う事だ。色んな人に望まれて、生まれてきた僕の命が僕には鬱陶しい。その望みは、僕には重い。でもまだまだ心配してくれる人が居る。その心配してくれる人の気遣いすら、鬱陶しい。生きる事は、嫌なんだ。皮肉な事だ。全く。
 でも、そうやって望まれて生まれた命が確かにある場所で、僕は生きたい。相変わらず矛盾だらけだが、独りで生きるぐらいならば、他の人の心配は要らないんだ。僕は、その願いが届く場所で、その望みが確かにある場所で、笑って生きたい。そんな願いを願っても。どうせ僕は、自嘲するんだ。
 
 君と居た思い出は僕の生きる糧だけれど、君が生きた証が、僕を苦しめている。重い思いが重なって、僕はもう背負って歩けないんだ。僕の生きている今の世界が、嫌だから。

 「嫌なら消えちゃいなよ。今までだって、試してきた事だろ」
 
僕の頼りは、僕を導いてくれているらしい。君が。君が、居るなら。逝ってしまっても、いい気がする。