二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.194 )
- 日時: 2011/08/13 19:07
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
ここからただただ逃げたくて。
#04 全部、いやなんだ
去ってしまう前に、おさらいをしよう。この世で一番大好きで大嫌いな僕の唄を唄おう。僕の、喋る相手も居ないこの冷たくなってしまった喉から、僕の心を振り絞って、僕の汚い心を吐き出そう。叫ぼう。とても真っ黒なその想いを唄おう。僕を攻める僕の本当の言葉が、鋭く尖って、それが僕の痛みとなるのをしっかりと見ててよ。最低で大好きな僕。そして、もう逃げてしまえよ。僕からも。
だけど、それはむしろ僕の願い。僕が僕から一番逃げ出したいと思ってる。君の居た頃の僕に依存したのは僕だけれど、そんな僕が最低だから今逃げたいけれど、やはり大好きでたまらない。逃げ出せない。事実と社会から逃げて、目を背けて、そしてまた僕から逃げる。なんて臆病なんだよ、僕は。それでも、ただ全てから逃げたくて。
全てから逃れる僕の哀れな姿。浮遊感と風を感じた後に、鈍い音がした。衝撃。しかし不思議と痛くない。僕のたった一つの体から、赤い赤い唄を叫ぶ。僕の赤い血はどくどくと流れ出し、野次馬も掛けてきて。ああ、さっきまで痛くないと感じたのに、今じゃ痛すぎる。けれど、何かから逃れられて心地いい。僕から逃れた? 君から逃れた? 世界から逃れた? 事実から逃れた? そんなのどうだっていいんだ。ただ、ひたすらに笑いが零れる。視界はぼやけて、目を瞑ろうと思った頃、誰かが見下した気がした。
本当の自分を自分で絶って、落ちてくのもこの星。堕ちてくのもこの星。と言うより、この星で死ぬより下なんて、ないんだ。この腐った地球に全て堕ちる。地球も堕ちる。皆で堕ちて逝ってる筈なのに、僕はいつまでもひとりぼっち。
——全て忘れられると、思ったのに。
君は消えないし、過ごした世界は消えないし僕だって消えない。また、独りぼっちで過ごすんだよ。
「どこまで堕ちれば、ゴールが見えるんだよ」
白いベッドの上で、僕への憤りを小さく呟いた。
全てを嫌う僕は、全てから愛されていたって言う、何とも皮肉な話だった。
end / Badbye