二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.207 )
日時: 2011/08/19 18:45
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)

番外編 # ひらひら、紅が、


 ただ揺らぐ水と金魚の入った袋を眺める少女、ミキ。しばらくその袋の中で泳いでいる金魚を見つめ、彼女はビーフジャーキーの様なその長い髪を結び、気合を入れて再度金魚すくいに臨む。

 「今度こそぅ……!」

気合を入れるミキの横では、呆れた様に焼き鳥を貪っているがくぽと、携帯を弄りながらジュースを飲むグミの姿。ミキには無関心である。
 
 「ねー、兄ちゃん。何でこの子バカなの? 私リリィちゃんとこ行きたいんだけど」
 「コイツがバカなのは否定できないけどとりあえずリリィの所に行くのは止めろよ?」

がくぽがそうグミに言うと、グミは駄々をこねる。

 「なーんでーさ! 兄ちゃんのケチー! 兄ちゃんはあの華奢な体に抱きつきたいとは思わないの!?」
 「妹ごときにそんな事思わねぇよ。て言うか近親相姦に百合ってどんんだけ禁断な恋を重ねるんだよ。しかも片思い」
 「片思いとは言わせねーよ!」

グミが張り切って大声を出すと、がくぽは「言ったし」と妹相手に冷たく流す。その間にもミキは沢山の金魚をすくい取り、器に入れていく。 そのミキの姿を眺めずに、冗談交じりの罵り合いと言う名のただ仲の良い会話を交わす二人。
 
 「言っておくけどさぁ、リリィちゃんって一応百合って名前だからね? 英語でごまかしてるだけだからね? だからそういう方向にいっちゃってるんだよ実は」
 「ねーよ。言っておくけど百合は純潔とかそんな感じの意味だからな。純潔な奴であればお前と付き合う訳ねーだろ。ぐへぐへ言ってる奴に魅力なんて感じないね」
 「あーあぁ、破れちゃったぁ……」

金魚すくいの網が破れて拗ねるミキの後ろには、本気で百合について語り合っている兄妹の姿。
 ミキは沢山の金魚が入った二つ目の袋を見つめる。二回目も、本命は居ない。ただそこには、ひらひらと舞う紅だけ。

 
 

 (…欲しかったのデメキンなんだけど)