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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【クイズ】ボカロ曲を好き勝手に【企画】 ( No.213 )
- 日時: 2011/08/22 10:25
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode
私はあなたのために。
#01 あなたのために
————あの日私は言われた。何を言われたかなんてもう思い出したくないほど嫌な記憶。嫌な言葉。
私の性格は全然あなたの理想と全然違っていた。しかしまあ人間やればできるもので、彼と接している時、私はなぜかその時の記憶がなかった。
つまり。最初の私はおとなしい娘を、作り上げた。恋に破れて本当の私の感情を閉ざして。何もかも、あなたのままに。何もかも、あなたのために。
あなたは私を怪訝な目をして私を見た事だと思うけれど、私は君の言葉に次々と、ぐさぐさと刺され、そしてその言葉を聞いた翌日にはまた新しい人格を作り上げていた。
そうして私達の感情は、ぐるぐるぎゅるぎゅるごちゃごちゃになって、入れ替わっていった。誰が何をするか、誰が何を思うか、誰がその言葉を受け止めるか。全て全て、私の役目が無くなるほどに他の役目は埋まっていって。ついには——十人の住人が私の中には住み込んでいた。
否定して叫んであーあー言って。私の中に誰かが住むのが耐えられなくって、でも何かあなたのためならどーでもよくなって、まあいいか、って思えた。そう思うしかなかった。あなたに、振り向いてもらいたいから。
私は、過去の私達を思い返すとやっぱり馬鹿げた事をしていたと思う。自分を見失うなんてそれはもう自分じゃなくて全くの別物だ。記憶も思いも共有してないのなんて、全ての人格の中に自分が居ないのなんて、それはもう、自分自身とは言わない。
——そんな私と、『私以外の十人』の話。
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