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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【クイズ】ボカロ曲を好き勝手に【企画】 ( No.219 )
- 日時: 2011/08/31 20:34
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
それは、本当に僕のためだろうか。
#03 あなたがちがう
「おとなしい子って、可愛いよなー」
冗談交じりで彼女の前で笑った。勿論おとなしい子も好きなのだが、一番は僕の隣で歩いているこの彼女——だったのに。
僕は翌日冗談を言った事を後悔する。
君がまるで、別人の様になって僕の元を訪れる。その様はまるで昨日僕が言葉に出した『おとなしい子』で、僕の一番大好きな彼女では無かった。僕は混乱して、おとなしい子の君に言う。
「明るい子もいい、よな」
僕は君から目を逸らす。違う君を、どうしても見れなかった。
翌日も彼女は人格が変わっていた。僕が君について言葉を吐き出す事に毎回毎回毎回。いつも。君は、僕のために人格を変えた。彼女は一途だから、自分を殺してでも誰かのために。誰かの望み通りに。その相手がたまたま僕で、その言葉と望みがたまたま女の子だっただけ。
そんな君を見る度に僕は胸が締め付けられる。君をこうしてしまった責任感と罪悪感。そして色々な君が見れる幸福感。君が見れないしばらくの消失。たまに訪れる君は、いつもと同じ僕と話した君の事を知らない。そんな十人と僕の関係が嫌だった。けれど。
僕はそんな一途な君に。僕の言葉一つで僕のために尽くしてくれる君に。胸が締め付けられると同時に、僕は君に惹かれていった。
「なら、それでいいでしょう」
「でもね……君には言わねばならない」
久しぶりに出てきた本当の君は、僕の話を聞いた後に俯きながら、何だか悔しそうに呟いた。
僕はそんな彼女を見て、言いたくない言葉を吐き出す。出来る事なら、全員愛したいけれど。
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