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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.24 )
- 日時: 2011/07/18 18:47
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
くるしい? 何を言っているのやら。
#02 くるしいサーカス
望まれてこんな体になったんじゃない。望まれて生まれてきたんじゃない。と。彼女はドレスを涙で濡らして何度もそう言う。
俺らは誰かに『改造』された。目の前で泣いている歌姫も、きっと青い犬らしき人間も。あの時の記憶はある。俺と、隣の頭の姉が繋がっている体に、継ぎ接ぎされている部分が改造された跡だと言う事も分かる。
多分、姉の頭にはその時の記憶がない。歌姫も青い犬も。多分改造された時の記憶は無い。俺は、鮮明に覚えている。
麻酔も刺されずに首を切られた時の記憶。痛みは忘れたが、まだ生きてるんだな、俺。と思ったのは覚えている。
過去の思い出に耽っていると、彼女が泣きじゃくって意識を取り戻す。
「何でそんな目で見てるの! 何で二人とも興味が無い様な顔なのよ!」
何でって言われても。俺は現実を受け入れたから、かなぁ。姉の方は単に興味が無いんだろうけど。
俺の姉は狂っている。楽しい事以外には興味を持たない。楽しい事、イコール? 狂った事。嫌なこの現状を楽しんでいるのは座長と隣の姉ぐらいだろうな、と考えた。
「いや……やだ、顔が腐食ってく」
その言葉で、彼女の顔にひびが入る音がした。一気に。パキパキと何回か音がした所で、彼女は顔を隠す。
「苦しいよ。苦しくて仕方がないよ……!」
手で顔を隠したまま、泣き声で彼女がそう言った。相変わらず、隣の姉は、相変わらずつまらなさそうな顔で歌姫を見下す。
俺は、歌姫を見たままで彼女に言葉を発した。
「それでも、このサーカスはいつまでも続くんだよ」
「そんなの、いやだよ……」
弱弱しい声で、彼女は言葉を出した。
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