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　変わり者が人間だとしたら、きっとツクリモノは人間が生み出した物よね。本物であろうと、偽物であろうと。


＃01　ツクリモノ


　君に向けて、皆に向けて、いたいけなモーション。可愛らしい動作。本当の私は可愛らしくもなんともないんだけど、せめて人前では可愛くいないと、白い目を向けられてしまう。君にも、嫌われちゃう。
　さあ、一人で全てを吐き出した夜のテンションを振り切って。二日酔いと戦いながら愛想を尽くす。愛想なんて、とうに尽きてるけれど。
　声を掛けられたら、できるだけの笑顔を向けて。気を使われたら、優しく感謝の言葉を。一つ一つの動作に気をつけて過ごす。
　辺りを見ると、意外。案外、ツクリモノの笑顔でも、ツクリモノの言葉でも、ツクリモノの動作でもいけるものね。
　私は、ただ人付き合いと人生をよくしたいだけ。会社に、気が合う人なんか、気になる人なんか居ない。おっと、ただし例外を除く。
　人生を、傷つきたくないがために嘘にする。汚い私は見せないの。でも彼には見てもらいたい？　知らない知らない。繰り返す自問は答えを出さない。答えなんて、無用よ。汚い私は、見たくないわ。
　全部嫌い。何もかも嫌い。人生は私を縛る。人間は私の本性を縛る。君は私の心を縛る。私は自分で何かを縛る。縛られたくない。けれど、生きてる限り鎖に繋がっている。どこにでも、『今すぐに自分を殺して、鎖を引きちぎる事が出来る状況』はある筈なのに、『生きて鎖を出る状況』は、作られない。ツクリモノを沢山作ってきた私でも、作れない。鎖を出たい。けれど、死ぬのは嫌だ。
　生きたいの。自由な世界で笑いたいの。私を、縛らないでよ。……叫んでみたって、所詮一人のちっぽけな存在。世界が変わる事なんて、あるわけないんだけど。