二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【クイズ】ボカロ曲を好き勝手に【企画】 ( No.251 )
日時: 2011/10/01 17:52
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)

 妄想を構想。そして君の目に映るのは愛想のいい私。


#02 妄想癖


 帰宅。一気に力が抜ける。今まで演じていたツクリモノの私は、既にどこかで手を振った。……ハァ、今日も一日疲れたわ。
 靴を適当に脱ぎ捨てて、私はゆっくりと足を動かした。
 あー。今から、ご飯を作らないといけない。ツクリモノを演じる事を終わっても、私は相変わらずに忙しい。
 私はそのままキッチンへと向かい、冷蔵庫の中を見る。嬉しい事に前に食べた晩ご飯の残り物があったので、それを温めて食べる事にした。
 タッパーに入っている冷たい残り物を皿に装い、レンジに入れてスイッチオン。その間に、まだ炊飯器に残っている白米を、茶碗に盛る。  そして、その茶碗をお膳に乗せて、レンジが温めている、本日の主役を待つ。——あ、手を洗うのを忘れてた。
 台所で手を洗い、かけてあったタオルで手を拭く。
 レンジが音を出したので、ゆっくりと向かって熱くなっている野菜炒めを取り出した。
 ご飯を食べて、今お風呂を出てきた所。まだ少し濡れている髪が首に当たって、冷たい。

「……ひとりぼっち、ねえ」

彼の事を想いながら、口に出してみる。
 ひとりぼっちの「ぼっち」を押すの。小さな点の中身は、私の妄想で。汚い欲望だらけで。やめて。よして。恥ずかしいからこんなのみたくない。
 買えない物などこの世には一つも無いわ。それは、転じて言えば何物にも値段をつけて高く売るのよ。ツクリモノの笑顔を売って、お偉いさんの信頼を買えたら、お得でしょう? ただ、自分を閉じ込めるだけなのだから。
 ありがたい事を尊重するなんて感情、生憎持ち合わせてないの。信頼を手に入れたのは運じゃない。勿論、お偉いさんが何をしたわけでもないわ。ただ私が頑張っただけ。
 けれど、あなたの心はそう簡単には買えないらしい。いや、私は表面上のあなたを買い取らない。あなたの心を全て買うわ。とてもお高い、本物の人間の心。何よりも醜くて、何よりも黒くて、何よりも美しい本物。渦巻く色々な感情。今までの過去。本当の気持ち。全て全て、払うから。
 ——ツクリモノよりもずっとずっと高級な、本当の私の心を、あなたの心と売買してみませんか?

 私は恥ずかしい本当の心を自覚して、悶死してしまいそうだった。
 ひとりぼっちって、自重を知らない。 
 
 これからの未来を、妄想してみたりするんです。